写真:民主308議席
308と119。民主の大勝、自民の大敗です。それは社保庁の年金混乱などで、全国民に広がった生活不安が一気に現実化したことによるものです。その不安に明確に対応できない自民への不満が、民主による政権運営への不安より、優先したというものです。
しかし自民は崩壊し、民主政権が今日明日にも発足することとなりました。今度は民主党の政権運営への不安が一気に現実化してくるというものです。鳩山由紀夫はテレビで「マニフェストで示した形を必ず実現していきたい」と口をすっぱくして言っています。しかしこの際、もう選挙に勝ったのだから、そんな口当たりの良いことは言わないことが大切だと、警告しておきます。
あの夢のマニフェストを、そのまま愚直に実行してしまっては、国は大混乱に陥るというものです。子ども手当、農家への個別補償、高速道路の無料化、高校の授業料の無料化等などといったバラマキ総額は20兆円弱。この支出を、例えば消費税でまかなうとすると、今の5%を25%に上げなければやっていけないのです。強額の負担です。国民の猛反発を受けないために、新政策は小出しに小ぶりに、ポーズだけをとっていくことこそ肝要です。
また民主党は国家公務員の給与を20%削減するとしています。しかし公務員の大半は自治労の組合員です。民主の足元を支えてきた彼らに、そんな数字を飲ませようとしては政権自体が揺らぎます。かつて革新の美濃部都政は、給与削減に反発した社会党らの組合員によって罵倒されながら崩れて行きました。思い出してほしいものです。
民主党は官僚つぶしも威勢よく叫んでいます。確かに外郭団体の削減や高額の連続退職金などは撤廃すべきです。しかし300人余の人気投票集団が、行政テクノクラートを敵に回してどんなチエと理論を展開できるというのでしょう。例えば来月には国連総会があります。その首相演説と外交戦略を、外務省の官僚でなく、1か月前に声のかかった素人メンバーで作成しようというのでしょうか。役人は国のために上手に使われることを待っています。彼らはつぶさず、堂々と使い切ればよいのです。
そんなこんな、民主党の政権運営は不安ばかりです。それだけに声高に主張しておきましょう。民主党よ、マニフェストに拘泥してはいけない、マニフェストは選挙に勝つためだけの紙切れと割り切って今後はこれを無視しようと。国民の将来と民主党の存続のためにも、口当たりのいい「覚せい剤」は、1日も早く捨て去ることが大切なのです。