ちょうど一か月前に、動き出した国立駅周辺まちづくりへの着手を歓迎しながら、私はブログ(8月27日)に“忘れてはならないこと、それは財源と情報公開”だと記しました。しかしわずか一か月でこの2つのことが裏切られ始めてきています。200億円以上はかかる大事業なのに、国立市の計画方針にはその財源(財政スキーム)を明確にする姿勢が見えず、他方で協議会(作業部会)を非公開とする方針を出したのです。
ところで先日、近所にすむ知人が、どう考えても駅周辺まちづくり計画の策定プロセスが不鮮明だとして、国立市役所の情報公開請求を出しました。非開示部分もありながら、次のことがわかりました。
(年・委託内容) (検討代表) (委託費) (委託業者)
平成12年(上原)
「駅周辺プラン報告書」 北沢猛(東大) 194万円 マヌ研究所
平成15年(上原)
「駅周辺まちづくり資料」 (庁内) 157万円 マヌ研究所
平成16年(上原)
「駅周辺まちづくり 北沢猛(東大)
提案書」(資料) 257万円 マヌ研究所
平成17年(上原)
「駅周辺まちづくり整備資料」 (庁内) 262万円 マヌ研究所
平成20年(関口)
「駅周辺まちづくり
基本計画」 北沢猛(東大) 852万円 (近く決定)
駅周辺の計画づくりに、見事に同じ人、同じ業者、同じ内容を10年近くに亘って委託してきているのです。それ故これら報告書の中身を一度ゆっくりご覧いただきたいものです(国立市のHPに掲載)。さすがにこれだけ出費すれば(同一業者といった点での不透明さは別として)、基礎資料としてはかなり整備され、本来ならこれを基礎に後は市案を正式決定すればいいと考えるべきものです。
にもかかわらず今に至って、また新たに業務委託を出す決定をしました。そこで改めて指摘しておかねばならないことが出てきます。それは今回、過去と同じ内容の報告書が出されるとしたら、852万円はどぶに捨てることになるということです。
過去の資料を生かし、新分野の報告書を出して初めて今回の委託は意味のあるものとなります。その唯一許容できる新分野の作業とは、整備手法の精緻化と財源の工夫(財政スキーム)の提示ということだと思うのです。とくに南口公共用地と三角屋根に係る財政スキームです。
しかしその財源見極め作業を具体的に行うことを今回の国立市の基本方針は明示しませんでした。かてて加えて、そうした議論の場(協議会・作業部会)さえ隠蔽することを9月26日に決定したのです。これでは市民の目の届かぬところで市政の重大事が進められてしまいます。明らかに市民自治の否定です。「国立には(市民参加の)ストーリィがある」云々といっていたのは選挙時だけの美辞麗句なのかと暗然としてしまいます。