Yuhiの読書日記+α

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タイタニア4<烈風篇>

2013年09月29日 00時47分45秒 | 小説
続編が出るのを今か今かと待ち続けていた田中芳樹著「タイタニア4<烈風篇>」を読了しました~!!この小説は、3巻が1991年にに発刊されて以来、ずっと休止状態になっていた作品で、22年の時を経て4巻が発売されるなんて、ホント奇跡ですよね。
私の場合は、講談社文庫から再発売された5年程前に初めて読んだ(再発売だからてっきり完結していると思っていた)ので、続きを待っていた期間はまだ少ない方なんだと思います。
3巻目のラストがとてもいい所で終わっている事もあり、最初は「続きが出ていないなんて信じられない!」と嘆き、続いて「アニメ化にもなったことだし、田中さんも続編を書く意欲があると言っていたから、きっと出るはず・・・」という期待に変わり、ここ数年は「やっぱり出ないんだな~」と諦めの境地でした。
それが、なんとなく見ていたネットで、「タイタニア4」を脱稿したという記事を見つけ、「ええー!まさか!?ホントに!?」ともう驚天動地、狂喜乱舞でした。

今、4巻を読み終えて、色々な感慨が浮かんでは消えていきます。聞いた話では、タイタニアは5巻で完結予定とか。となると、もう終わりは目の前まで来ているのだから、後はどうやってこの物語を終結させるのかが気になりますよね。
さすがにもう22年も待たせるという事はないと思いますが、他の作品もたくさん抱えている作者様の事ですので、さすがに1年や2年は出ないんだろうと思いますが・・・。でも、すっごく気になるから、とにかく一刻も早く続きを書いて欲しい!!

えー、ではここから先はいよいよ感想を書きたいと思います。相当重大な事をネタバレしますんで未読の方は、絶対に絶対に読まないで下さいね!(読んだら、面白さは半減しますよ)

    *    *    *    *    *

ではでは、ご準備はよろしいでしょうか?以下、ネタバレ&愚痴になります。

4巻は、待ちに待っていただけあって、本当に心から楽しめました。22年のブランクがあったので、文体や筆力を心配するむきもありましたが、私はほとんど違和感なく、物語世界に入っていけましたし(若干、登場人物の言葉遣いとか描写に、昔だったらこれはなかったかなーというのはありましたが)、ストーリーもテンポがよく勢いがあって、一気に読めました。
でもラストのラストが、あまりにも衝撃的で、読んで数日経ったいまでも、思い出すと無力感と脱力感に苛まれます。
ああ、私が5年も待ち続けていた結果がこれだったんなら、4巻は出なかった方が良かったんじゃないか・・・と。こんな結果は決して望んでいなかったのに・・・(T_T)

1~3巻を読んだ時に、私の一番のお気に入りのキャラクターは、アリアバートでした。最初に登場した時は、顔がいいだけの優等生で、軍事に強い筈なのに、全くの無名のファン・ヒューリックにあっさりと敗北するという、正直単なる主人公の引き立て役?と思ったキャラでした。
それが物語が進むにつれ、敗北や挫折(それも2度も)から這い上がり、古い殻を脱ぎ捨てて脱皮し、新たな一面を見出していく特異なキャラに変貌していきました。
単純ですが、私もそれにガツンとやられ、3巻のラストには、主人公と目されるジュスランやファンなんて目に入らないくらい、一番のお気に入りになっていました^^;

4巻でも、アリアバートはすごい活躍をします&魅力的に描かれています。どこか影が薄くなってしまったファンや、軍事的才能はないからと言って、後方で待機しているだけのジュスランに比べて、それはもう神がかりなくらい。これを読んで、なんとなくイヤな予感はしたんですよね。でも、まさかという気もありました。少なくとも、5巻目までは、大丈夫かな~なんて。でもそれは甘かった。

3巻を読了した時点で私が漠然と考えていたのは、ジュスランとアリアバートが親の因縁などもあって、敵対することになるのかなと。母親同士に確執があったみたいだし、二人が異母兄弟であることをやたら強調していたのは、そういう伏線なのかなと。
でも、まさかこんなザーリッシュのライバルとしてアリアバート、イドリスのライバルとしてジュスランと藩王が考えていたなんて。てことは、ザーリッシュが死んだ時点で、アリアバートは用済みだったんですよね(T_T)

最終的にジュスラン対イドリスになった訳ですが、こんなの勝負になるんでしょうか?軍事的能力は二人に大差ないし、政治力や判断力、経験などはジュスランが圧倒してると思うんですよね。藩王が明白にイドリス側であると宣言すれば別かもしれませんが、そうするんだったら、面倒なことをせず、最初からイドリスを後継者にしておけば良かったんじゃ?と思うんですよね。

藩王はなぜこんなことをするんでしょう?タイタニアを強くするためなんだとしても、一族の内紛を煽り、有力者を殺し合わせれば、タイタニアの名も力も殺がれてしまうとは考えないんでしょうか?その答えは5巻に書かれるかもしれませんが・・・。

どういう事になるにしても、アリアバートのいない世界は、これまでほど魅力があるとは思えない。ジュスランもいいキャラクターで好きですが、アリアバートのような魅力とはまた違うんです。
もちろんここまできたら5巻も出れば読むけど、もう何を楽しみに読めばいいのか分からないです・・・(T_T)

最後に・・・。アリアバートが撃たれた時に、ジュスランが「兄さん!」って初めて呼んだところは、うるうるしてしまった。結局それが最初で最後なんだと分かったから。あまりにも辛すぎる・・・(T_T)
(アリアバートの方がジュスランより2週間早く生まれたという話は、このエピソードの為に伏線を張られたのかな。それまではどちらが先に生まれたかは明確にはされてなかったはず。作者様はジュスランに「兄さん」と呼ばせたかったんですね。)

ジュスランとアリアバートの信頼関係が4巻で一気に深まって、お互いに命を預けあい助け合っていく心地よさを味わったあとだけに、この喪失感って半端ないです。
読んでる私でもそうなんだから、ジュスランはもっとなんだと思います。これまで冷静にタイタニアのあり方を分析しどこか達観していたジュスランだけに、豹変したら怖い・・・。暗黒面に落ちてダース・ベイダーみたいになっていくんじゃないかと心配です。