6月11日

 小川公代『世界文学をケアで読み解く』を読んだ。
 
 文学作品を通して〈ケアの倫理〉について知ることが出来る。
 物語からのアプローチという方法が、取っ掛かりとしてとても読みやすい。家父長制における女性の役割を指す「家庭の天使」と〈ケアの倫理〉を、どう引き離して考えたらいいのか…という問題は特に気になった。

 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『シブヤで目覚めて』『菜食主義者』『ソラリス』『侍女の物語』『誓願』『犬婿入り』など、そんな風にも読めるのか…と驚いたり。
 そして、エミリー・ブロンテが最期の日まで家族のためのパンを焼こうとした(かも知れない)ことを思い続けてしまう。
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6月8日

 お昼ごめん。みそ担々麺。「和佳」にて。
 
  
 

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6月7日

 夫と焼き肉で夕呑み。ふふふふふ。
 
  
 
  
 

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6月7日

 ヘルマン・ブロッホ/川村二郎訳『ウェルギリウスの死 上・下』を読んだ。
 

 
 素晴らしい読み応えだった(そして時間かかったw)。
 翻訳自体が割と古いものでもあり、言葉ひとつひとつの選び方がゆかしくて、息の長い文章はとても美しかった。

 “少年の日と同様に彼は生け垣を手でかい撫でることもできただろう、(略)それは死と死への歩みへむけられた夢、幼い日々このかたのすべての夢見心地の待機の目標、記憶の目標と源泉へむけられた夢だった、それは透明で、けっして消えることのない、認識をもとめてやまぬ夢だった。”

“人間とは彼にとっては無にすぎなかった。お伽噺(とぎばなし)の生物、美に覆われた美の演技者にすぎなかった。”
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6月4日

 おはすこ。朝から冷食パスタ。
 

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6月3日

 おはすこ。朝ごぱん🥖
 

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5月に読んだ本

5月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4473

「銀河を産んだように」などIIIIII歌集 (短歌研究文庫, 5<新お-1>)「銀河を産んだように」などIIIIII歌集 (短歌研究文庫, 5<新お-1>)の感想
『人類のヴァイオリン』を愛読してきたので、全三歌集はとても嬉しい。〈サンダルの青踏みしめて立つわたし銀河を産んだように涼しい〉〈めざめれば又もや大滝和子にてハーブの鉢に水ふかくやる〉〈さみどりのペディキュアをもて飾りつつ足というは異郷のはじめ〉〈ゆえ知らずわれに湧きくる不安をば珍熱帯魚として眺むるも〉〈きょうもまたシュレディンガーの猫連れてゆたにたゆたに恋いつつぞいる〉〈躰とは脈うつ大陸それぞれの孤独な奴婢に統べられながら〉〈超新星ばらまき猫という猫の硝子へだてて耳うつくしき〉
読了日:05月31日 著者:大滝和子
カ-ルシュタイン城夜話カ-ルシュタイン城夜話の感想
再読。病に伏した皇帝カレル四世と3人の側近たちのチェコ版『デカメロン』な設定で、この時代のチェコの雰囲気は格別。ただ、様々な女性についての21篇なのに、如何に敬虔かつ貞淑か(或はその逆か)の話になりがちではある。あと、カレル四世が夫として誠実であろうとしたのはわかるけれど、3人の妻が若くして出産後数年の内には亡くなることに淡々と触れているのが、今回は辛かった(王は独身ではいられない…)とりわけ好きだったのは「オルガ」「ブランカ」「スヴィードニツェのアンナ」──"王たるものは妻に愛されるべきなのだろうか?”
読了日:05月28日 著者:フランティシェク クプカ
きつね月きつね月の感想
再々読。二度と同じ模様にならない言葉たちの万華鏡を覗くよう。“ほとんどの単語は平和条約を結び合っている。ぶつかり合うことがあっても、すぐに抱き合ってしまう。相手の顔を見なくても済むように。(略)ふたつの単語が出会って、わたしたちの自由を奪う。たとえば、巨匠と文学、声と民主主義、休暇と自然。うんざりするような組み合わせを見ると、肺に力が入らなくなる。” “文字たちと尼僧たちは海に向かって走り出し、睡蓮の刺を探すために、衣の裾をめくりあげて、ひらひらと砂浜を渡っていく。自分の肖像画と似ている人が滅多にいないの
読了日:05月24日 著者:多和田 葉子
物語チェコの歴史: 森と高原と古城の国 (中公新書 1838)物語チェコの歴史: 森と高原と古城の国 (中公新書 1838)の感想
とても読みやすくて面白かった。そも、チェコという国の一貫した通史を書くことはできるのか。中世のチェコ王国と現代のチェコ共和国を、単純につなげて解釈するのは違うのでは…という観点から、時代ごとに特定の人物をとりあげることでチェコ史をたどっていく。お目当てはカレル四世の時代だったけれど、もっと遡ったモラヴィア王国や聖人アネシュカの章も読めてよかったし、ハプスブルク家の崩壊後の 経緯も、そういうことだったのか…と興味深い内容だった。(窓外放擲事件の件があると、思わず「待ってました」となってしまうw)
読了日:05月23日 著者:薩摩 秀登
フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者
読了日:05月21日 著者:シャルル・ペパン
この世界からは出ていくけれどこの世界からは出ていくけれどの感想
原書での意図に沿うようにつけられたという日本語版タイトル(同名の短篇はない)が、内容にぴったりで素敵だ。選んだ訳ではない与えられた環境にいる、間違いみたいに生まれた世界にいる、旅路の果てにたどり着いた星にいるそれぞれの登場人物たちを、一見頼りなくか細い線(でも確かな)で繋いでいく読み心地だった。例えば、その世界からは出ていく者と、何処へも行けずに見送る者とのすれ違いほどの邂逅と別離を描いていても、それを哀しい物語にはしないところがとてもよかった。好きな作品は「ブレスシャドー」「古の協約」「キャビン方程式」
読了日:05月20日 著者:キム・チョヨプ
感傷ファンタスマゴリィ (創元日本SF叢書)感傷ファンタスマゴリィ (創元日本SF叢書)の感想
とてもよかった。まず耽美で残酷かつ甘苦い毒滴る作風が好みで堪らないのだが、人の嗜虐性や暴力、どす黒い憎悪(例えば人々を“魔女狩り”へと駆り立てるものの正体)をきっちり描く筆致にも痺れる。表題作では“幽霊とは思考の産物” という件からの、己が己であることの確かさがぐらぐら揺るがされ、自己確立の脆さを突き付けられる展開が頗る響いた。「4W」はシスターフッドの物語としても読めるしそこが好きでもあり、「ウィッチクラフト≠マレフィキウム」で見据えているものは性別に関係なく誰もが考え続けるべきことなのだろう…とも思う
読了日:05月17日 著者:空木 春宵
未明01未明01
読了日:05月14日 著者:外間隆史
ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ (中公文庫 か 15-6)ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ (中公文庫 か 15-6)の感想
再読。素晴らしかった。遠い日々の記憶が弛んで寄り集まり、褪色したモザイク模様になる。過去に凝る茫洋とした時間の淵から掬い上げられる、鮮やかなイメージと繰り返すその語り直しに、ふと眩暈する読み心地だった。とりわけ、何度も出てくる “まゆみの生垣” をめぐらし曲がりくねった狭い道の描写は、時間を行き来してとめどない語り口そのものとも重なる。“それとも、いつかこの今の瞬間、今こうして見ている月と、この道と、風と、こうして今わたしの感じているすべての感覚を思い出すことがあるだろうか。”
読了日:05月14日 著者:金井 美恵子
浮かびあがる浮かびあがる
読了日:05月10日 著者:マーガレット アトウッド
秘密の花園秘密の花園の感想
偏愛本。子どもの頃から繰り返し読んだお話。メアリとコリンが大人たちに都合のいい ”良い子“ ではないところが、今も昔もこの作品を好きな理由として大きいことを、あらためてしみじみ(かんしゃくをかんしゃくでもって鎮めるとか素晴らしいw)。そして『デカメロン』を読んだ時もそうだったけれど、文学の中で描かれたパンデミックについて、そこに居合わせた人々の恐怖を少なからず身を以て知った今だから、そこは感じ方が違っているはず。幼いメアリがひとりで味わった怖さを思うと、“秘密の花園”や友達に出会えて本当によかったねぇ…と
読了日:05月08日 著者:F.H.バーネット
殴り合う貴族たち (文春学藝ライブラリー 歴史 29)殴り合う貴族たち (文春学藝ライブラリー 歴史 29)
読了日:05月07日 著者:繁田 信一
デカメロン 上 (河出文庫 ホ 6-1)デカメロン 上 (河出文庫 ホ 6-1)の感想
先日の『神曲』の訳注でボッカッチョに触れている箇所が幾つもあり、ますます読んでみたくなった。まずは上巻の3日分(1日に10人で10話)。一日目はまだ小手調べな感じで、二日目以降からじわっと面白くなる(まあ、概ね大らかにエロい…w)。ダンテの聖職者批判とも通底する話や、ダンテのパロディのようにも読める話があって興味深いし、シェイクスピア作品の材源になった話を読めたのもよかった。『終わりよければすべてよし』を読んだ際のあのもやもや~っと割り切れない感じが、元になった話には殆どない(大らかにエロいのでw)…とか
読了日:05月01日 著者:ボッカッチョ

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5月31日

 大滝和子『「銀河を産んだように」などⅠ Ⅱ Ⅲ歌集』を読んだ。『人類のヴァイオリン』を愛読してきたので、全三歌集はとても嬉しい。
  
 〈サンダルの青踏みしめて立つわたし銀河を産んだように涼しい〉
 〈きみと舐めているにあらぬにアイスクリーム羊皮紙へにじむ花文字のあまさ〉
 〈くるおしくキスする夜もかなたには冥王星の冷えつつ回る〉
 〈めざめれば又もや大滝和子にてハーブの鉢に水ふかくやる〉
 〈さみどりのペディキュアをもて飾りつつ足というは異郷のはじめ〉
 〈相対性理論を習うまなざしの二億秒まえ飼っていた猫〉
 〈ゆえ知らずわれに湧きくる不安をば珍熱帯魚として眺むるも〉
 (「銀河を産んだように」)

 〈きょうもまたシュレディンガーの猫連れてゆたにたゆたに恋いつつぞいる〉
 〈《存在》はとこしえにあるものなりや角度とともに雪降りきたる〉
 〈躰とは脈うつ大陸それぞれの孤独な奴婢に統べられながら〉
 〈超新星ばらまき猫という猫の硝子へだてて耳うつくしき〉
 〈都あり。ゆらぎゆきかうものらみな《その女王》のしもべなるかな〉
 〈昆布茶飲みふとおもいだす 自転車でキュリー夫人は新婚旅行〉
 〈みずからを誰もが《われ》と思いつつこの世の埃吸いこみている〉
 〈卯年(うどし)なる夏目漱石怒りつつ倫敦塔をのぼりつめしか〉
 〈君に背を向けて地球を一周しまた戻りくる音速われは〉
 (「竹とヴィーナス」)
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