3月に読んだ本

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:6821ページ

皆川博子コレクション1ライダーは闇に消えた皆川博子コレクション1ライダーは闇に消えた
深々と満足の溜め息。読んでみたかった表題作をはじめ、どの作品も読めて嬉しいものばかりで、隅々まで堪能した。コレクション2が楽しみ。
読了日:3月31日 著者:皆川 博子
アルテミオ・クルスの死 (新潮・現代世界の文学)アルテミオ・クルスの死 (新潮・現代世界の文学)
素晴らしい読み応え。母国を、“ラ・チンガータ(凌辱された女)”に他ならないと糾弾する言葉に、圧倒された。その行き場のない憤りが、底流を成す。内戦を生き延びた男が機を掴んでのし上がり、富と権力を得たものの虚しい臨終を迎える…という、やり切れない物語。過去をふりすて、未来だけを見据えて生きてきたアルテミオが、自身も含めて誰一人幸せにすることはなかった。幾つもの選択がかつてあり、その全ての選択の取り返しの付かなさ。その時そうしていなければ、今の命すらなかっただろう…とたたみかけてくる二人称の件は、あまりにも悲痛
読了日:3月29日 著者:カルロス・フエンテス
カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢 (河出文庫)カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢 (河出文庫)
読了日:3月26日 著者:マックス エルンスト
宿命の交わる城 (河出文庫)宿命の交わる城 (河出文庫)
楽しかった! カードの図版に目を凝らしつつ、“困難な絵図”に眩暈した。
読了日:3月26日 著者:イタロ・カルヴィーノ
美しい水死人―ラテンアメリカ文学アンソロジー (福武文庫)美しい水死人―ラテンアメリカ文学アンソロジー (福武文庫)
ぎゅうっと濃厚な、選りすぐりの一冊。表題作等、既読の作品もありつつ大満足だった。初読で好きだったのは、「波と暮らして」や「遊園地」、「記章」、「閉じられたドア」…。とりわけ好みだった作品は、「水に浮かんだ家」と「パウリーナの思い出に」。この2作品を読めたのは、とても嬉しい。
読了日:3月25日 著者:ガルシア‐マルケス
世界文学全集 82世界文学全集 82
お目当ての「ペテルブルグ」は、凄まじい読み応えだった。悪疫をもたらした沼地に建設された、カオスと霧の都市ペテルブルグ。“走り去る大通りの無限”と、“それとともに走り去る交差する幻影の無限”が、ただ悪夢のように目くるめくってゆく物語に幻惑されっぱなしだった。封じられた沼沢地の瘴気がいつしか充満し、主要人物たちの魂を中毒させる。革命前の混沌。合わせ鏡の如く増殖する錯乱と狂気が、ほぼ二日間に凝縮されている様は、圧倒されて息苦しいほど。分裂した主人公ニコライ・アポローノヴィチの行動が招く結末まで、すっかり呑まれた
読了日:3月23日 著者:マクシム・ゴーリキイ,アンドレイ・ベールイ
ラパチーニの娘―ナサニエル・ホーソーン短編集ラパチーニの娘―ナサニエル・ホーソーン短編集
うーむ、面白かった。表題作は大好き。毒薬を研究するラパチーニ博士と、美しい無邪気な娘ベアトリーチェ。彼らの隣人となったジョヴァンニは、恐れを抱きつつ娘に近付きたい思いを止められなかった。やがて2人は、まがい物で輝く庭園の中、日ごと逢瀬を重ねる間柄にはなるが…。毒の扱いが面白い。ラスト、ベアトリーチェの言葉が突き刺さる。読んでみたかった「ウェイクフィールド」、「痣」も頗るよかった。「若いグッドマン・・」は、セイラム村が舞台で実名も出てくる。最後まで読むと、これは本当に怖い話。救いも答えもなく、ぞおっとした。
読了日:3月19日 著者:ナサニエル ホーソーン
カールシュタイン城夜話カールシュタイン城夜話
とてもよかった。殊更な新奇さはなく、ただ読み進むほどに、カールシュタイン城を取り巻く夜の深さに思いを馳せたくなる。病に伏すカレル四世と側近たちとのチェコ版千夜一夜物語…だが、その4人の間をゆきかう情味も胸をうった。祖国愛と、歳月の積み重なりで繋がり合う人達だけが過ごせる、濃ゆい時間だったのではないか…と。皇帝自身が語る章からは、王であることの孤独と、亡くした妻や愛した女への哀惜が伝わってくる。王たるが故に思うに任せない人生を、それでも、誠実に生きてきた王の気高さ。収容所で読み続けられたという話も素晴らしい
読了日:3月19日 著者:フランティシェク クプカ
看板描きと水晶の魚 (英国短篇小説の愉しみ)看板描きと水晶の魚 (英国短篇小説の愉しみ)
読み残しがあったので、こちらから。表題作がすこぶる好み。読めて嬉しかったのは、「鏡のなかの貴婦人―映像」と「花よりもはかなく」。「羊歯」も忘れがたい。
読了日:3月15日 著者:
世界幻想文学大系〈第5巻 B〉放浪者メルモス (1977年)世界幻想文学大系〈第5巻 B〉放浪者メルモス (1977年)
下巻からは、どっぷりゴシックロマンス。逃亡先でモンサダが読んだ手稿を、ジョンに向けて語っていく「印度魔島奇譚」が素晴らしかった。可憐なヒロイン、イマリーの造形には驚いたが。あまりの悲惨さに目を覆いたくなった「グスマン一族の物語」。「恋人の物語」も、好きな話だけれどきつかった…。そして、メルモスとイシドーラの物語のゆくえには、ただもう溜め息しか出ない。
読了日:3月14日 著者:紀田 順一郎,荒俣 宏
世界幻想文学大系〈5A〉放浪者メルモス (1977年)世界幻想文学大系〈5A〉放浪者メルモス (1977年)
期待を上回る面白さで、魂消つつ読み耽った。暗黒のゴシック小説。己の魂を悪魔に売ったアイルランド人メルモスは、犠牲者を求めて放浪を続けていた。いまわの際にある老守銭奴に呼びつけられた甥のジョンは、臨終(死因は恐怖!)を看取った後、処分するように言われた手稿に目を通してしまう。そしてまた、近くの海で遭難したスペイン人を来客として迎え、その恐ろしい半生を聴くことに…という枠物語。上巻は、「スタントンの物語」と「スペイン人の物語」。モンサダが語る理不尽な生い立ちや修道院生活、脱走劇の顛末は、戦慄の連続で固唾を呑む
読了日:3月12日 著者:紀田 順一郎,荒俣 宏
ヒュペルボレオス極北神怪譚 (創元推理文庫)ヒュペルボレオス極北神怪譚 (創元推理文庫)
とりわけ好きだったのは、「皓白の巫女」や「三十九の飾帯盗み」、「マリュグリスの死」、「スファノモエーへの旅」、「柳のある山水画」。
読了日:3月11日 著者:クラーク・アシュトン・スミス
絵で見る十字軍物語絵で見る十字軍物語
読了日:3月8日 著者:塩野 七生
少年十字軍 (一般書)少年十字軍 (一般書)
少年たちの姿に胸が痛んだけれど、堪能した。曇りのない眼差しを持つルーが愛おしい。ラストがとてもよかった。
読了日:3月7日 著者:皆川 博子
賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2)賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2)
面白く読んだ。とても好きだったのは、亡き父親を懐かしんで丁寧に思い出をたどる件。稀有で魅力的な人物像がくっきりと立ち上がってくるので、思わず引き寄せられた。珍かな蝶を追っていく後ろ姿が、少年だった語り手の手の届かない方へ消えていってしまう切なさ…。若者らしい理想と志の言葉が溢れてくる、詩人コンチェーエフとの会話の箇所もほろりとよかった。第4章は流石に読み難いものの、主人公が故国の著名人チェルヌィシェフスキーの日記を読み返し、そのばかばかしさ、真面目さ、けだるさ…を気に入ってその生涯を書こうとする流れは好き
読了日:3月6日 著者:ウラジーミル・ナボコフ
スペードの女王・ベールキン物語 (岩波文庫)スペードの女王・ベールキン物語 (岩波文庫)
未読だったベールキン物語(短篇五種)を。とても面白かった。
読了日:3月3日 著者:プーシキン
アイロンと朝の詩人 回送電車III (中公文庫)アイロンと朝の詩人 回送電車III (中公文庫)
読了日:3月3日 著者:堀江 敏幸
フェルディドゥルケ (平凡社ライブラリー)フェルディドゥルケ (平凡社ライブラリー)
読了日:3月2日 著者:ヴィトルド ゴンブローヴィッチ

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