プルースト、『失われた時を求めて 2』

 ゆっくりと、一冊ずつ。 

 “ところが病的状態にあったスワンは、じつをいえばそのような治癒を死と同じほどに怖れていた。” 256頁

 第一篇の、「スワンの恋」と「土地の名―名」の巻。大都会パリに舞台を移し、主人公が生まれる前のスワンの恋愛を描く「スワンの恋」は、昔これで挫折したのもむべなるかな…という内容で、今読めば凄く面白かった。

 容姿も性格も全く自分の好みではない相手なのに、ずぶずぶと深入りしてしまう恋のからくり。己に都合よく作り上げた虚像しか見ようせず、まるで人が変わったように何処までも入れ込んでいくスワンの恋。誰か止めたれや…と思わず突っこんだが、それが出来ないのが恋か…。きっと、多かれ少なかれ誰もがそうなのだろうけれど、ここまで誇張されていると、相当に天の邪鬼な恋物語だな…と思ったり。で、そこが面白い。
 主人公とスワンの類似点も、これからますます見えてくるのね(溜息)。
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