4月23日(木)のつぶやき(読んだ本、『鰯の埋葬・バビロンの邪神』)

@rinakko 14:57
【新しい世界の文学〈67〉鰯の埋葬・バビロンの邪神 (1974年)/フェルナンド・アラバール】を読んだ本に追加

“五月になったらおまえは、羊の群れの番をし、マンドラゴラの原で愛を知るだろう、とアルタゴールがぼくにいった。” 113・141頁

 大通りに現れる様々な一行を、いつも“ぼく”は窓から見おろしている。なぜか壁に鎖で繋がれている彼の部屋を、2人の女アルタゴールとリスが繰り返し訪れる(そして服を脱がせる。彼女たちもしばしば脱ぐ。キスを教える。鞭で打つ…)。窓外の猥雑な行列の様子も、部屋の中での彼らの秘儀も、倒錯と暴力がだらだらと続くばかりで異様で涜聖的だった。ただ、大通りの恐慌が地獄絵の様相を呈していくのとは違って、3人の関係は奇妙に優しく、どこか幻想をまとうようでさえある。
 「鰯の埋葬」というタイトルはゴヤの作品からで、副題は「小人ヒエロニムスの書」。「バビロンの邪神」は自伝的な作品。
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