本が好き!な、りなっこのダイアリーです。週末は旦那と食べ歩き。そちらの報告も。
本読みの日々つらつら
恩田陸さん、『中庭の出来事』
『中庭の出来事』、恩田陸を読みました。
“人々は、見ることで消費する存在であるのと同時に、見られることで消費される存在でもある。見る者と見られる者は、いつなんどきひっくり返っても不思議ではない。外から鑑賞する目と内から鑑賞される目を持ってしまった現代人は、その二つの目に常に引き裂かれたままになっているいのだ――” 222頁
誰を主人公とも名指せない群像劇。同じところを回らされているみたいな、迷路に迷いこみ抜け出せなくなっていく…めくるめく眩暈感。一人一人の登場人物に深入りする為の記述もなく(その必要もなく)、誰も彼もが最後まで謎めいている。それもまた魅力でした。
女優がいて、その芝居の中でも女優の役を演じている。女優としての演技をしながら、さらにお芝居をしていたりする(二重三重の芝居? ああこんがらかる…)。では彼女の本当の顔は、どこかで晒されているのでしょうか…? 全てが虚構の上塗りだけに終始して、迷い込んだ読み手はただひたすら迷宮を歩き続ける…のが、つまるところのオチなのかしら? と、考えれば考えるほどにますます混乱しながら、兎に角読みました。作者の思う壺?
もしかして、それぞれの章をばらばらにして別の並べ方を探し出せたなら、絡まった糸が気持ちよく一本になるように、話も解けていくのかしら。…と、糸口を掴んだつもりでたどっても絡まってしまう。中庭のさらに奥深くに、引きずり込まれているのでした。
演じるものと演じられるものは、いつでも交替可能な立場なのか。それどころか。一介の読者に過ぎない私も、束の間かりそめの鑑賞者の役を振り分けられ、その役目を忠実に演じていただけなのかもしれない…(ああ、こんがらかる…)。
(2006.12.11)
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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恩田陸さんの著書は、未だ読んだことがないのですが、宮部みゆきを呼んで以来ミステリー小説にも少しずつ興味が引き出されてきたので、挑戦してみようかなと思います。
『中庭の出来事』について、恩田さんが最近新聞のインタビュー記事で、読者を翻弄したいというようなことを仰有っていました。
その通りの仕上がりということですね。
禁断の果実を囓ろうか、、、。
恩田陸さん、未経験なのですね。 おお・・・、いいな~。
もしも気に入ったなら、これからの楽しみがど~んと増えますね。
あんな作品や、こんな作品との出会いが、K&Kさんにとっても、素敵な出会いになると嬉しいです。
う~ん、この本は「迷路みたいな正統恩田節」の匂いがしますね~。時間がたっぷりあって、勢いで読んだほうがいい、、というアドバイス、心にとめておきますわん♪。今年は恩田さんに出会った記念の年(?)だから、〆の読書はもう一冊手元にある「ねじの回転」にします。でも、掃除とかやること終わってからね。目の前に下げたにんじんのように、早く落ち着いて読みたい、、と、おそうじだわ!まずは。
なんちゃって。 最近の風邪の話題は、かなり怖いところまで行っちゃってるので、本当に気をつけたいですね。
目の前に下げたにんじんって、わかりますわかります。 私も最近はそんな感じで、大物は後に回すようにしていますよ
「ねじの回転」ですか、いいですね。 結構がっつりとくるSFですから、腰を据えて読まれたら、かなりの手応えがあるのではないでしょうかねぇ。
いやあそれにしても、先ずはお掃除ですね。 見習わなくっちゃ~。
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