本が好き!な、りなっこのダイアリーです。週末は旦那と食べ歩き。そちらの報告も。
本読みの日々つらつら
皆川博子さん、『骨笛』 再読
皆川さんにどぷり…。まだしばらく浸っていたい。今回も再読。妖しく哀しく、怖い連作短篇集です。
『骨笛』、皆川博子を読みました。
くっきりとした輪郭と、危なげな魅力をあわせ持つ少女たちの棘に、うかうかと刺される「沼猫」や「夢の雫」。生者と死者の何気ない出会いと、透明な交流を描いた「月の光」、「冬の薔薇」…などなど。どこがどう繋がっているのか、散りばめられた符牒を掬い上げていく楽しみは、連作集ならでは。
嗚呼、それにしても。
小説の中の少女たちは、どうしてあんなに不思議な存在になれるのだろう? そう、例えばまるで猫の化生でもあるかの如く。
残酷で無垢で、気まぐれ…かと思うと頑な。くねりくねりと捉えどころがない。そして、とても気むずかしい。いつか失われることを約束された上での、一瞬の煌きのように研ぎ澄ましたその魔性を、惜しげもなく見せつけてくる。あくまでも観念的にのみ存在し得る、物語の内側に永遠に縫い止められた…そんな、少女たち。
マユ、泉、そしてミオ…。からかうように嘲るように、そして徒に誘うように、私の瞳の奥を覗き込んでは身を翻し去っていく。それはそれは軽やかに、私の行けない向こう側へと。
この、常識という名のクリームをまんべんなく塗り付けた物憂い世界にも、繋ぎ止めてくれる大切な存在がある限り、私はここから逸脱することはない。それは、分かり切ったことだけれど…。ほんの束の間の、現実からの逃亡。その感覚に、溺れさせてもらうこと。皆川作品を読む醍醐味は、そんなところにあるのやも知れず。ただただ、うっとりと。
(2006.8.11)
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
恩田陸さん、... » |
単行本があるくせにすっかり買うつもり(笑)
おぉ!本当ですか、すごい!!
大好きなのです。家守。
来月は『夜のピクニック』もあるし楽しみです!
皆川さんの本は未読ですが、この間からこちらでいくつか感想を拝見してると、すごく深い世界・・というか重圧感?たっぷりの世界が思い浮かびます。気になります・・が、怖そうで手にとれず(汗)
装丁が気に入っているので、余程買ってしまおうかと、何度も思ったんです。
いつも、単行本と文庫本で、表紙を変えてないですよね?
あのままがいいなぁ・・・。
ますます、読みたい読みたい。
皆川さんは、
>重圧感?たっぷりの世界
あ、それあるかも知れません。
あまり、誰にでもおススメ出来る作家さんではないです。
好きな人には堪らない!っていう、根強いファンからの支持の高い作家さんでしょうか?
とりあえず、気にしておいて下さい(笑)。 いつか縁があるかも?
『骨笛』読み終わりました!
危なく現実から逸脱した少女たちの物語でしたね。
こうやって繫がっていたのか~という切れ端の繫がりを追っていくのがなんとも楽しかったです!
やっぱり皆川さんは、短篇も素晴らしいですもの。
tomekitiさん、どんどん読みすすめられていますね~。
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