ボフミル・フラバル、『厳重に監視された列車』)

 『厳重に監視された列車』の感想を少しばかり。

 “日付印さえそんな所に押したんだ!” 25頁

 面白かった。ナチス支配下のチェコ、見習員ミロシュの働く鉄道駅が物語の舞台である。主人公のひいじいさんルカーシュと、催眠術師だったじいさんの件も大好きだし(町の人たちをむかつかせた家族…!)、操車員フビチカが駅のゴム印を次々に電信嬢の尻に押しまくった…というエピソードも可笑しかった。

 ミロシュが働く駅を通過するのは、厳戒兵員輸送列車、飢えた子牛や牝牛が輸送される列車、前線から到着して故国へと向かう病院列車、そして弾薬を積んだ貨物列車…。
 性的失敗を苦に病んで…(むむむ)というミロシュの事情も、一連の流れの中で知らされると妙に納得させられてしまうが、それが終盤の行動に繋がっていくのは驚きだった。シュールな嗤いと、猥雑でエロでメランコリックな作風を、こそりと愛好し続けたい作家である。
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