5月29日(月)のつぶやき（読んだ本、『安徳天皇漂海記』 再読）

(@rinakko) 2017年5月29日 - 15:04
【安徳天皇漂海記 (中公文庫)/宇月原 晴明】

　再読。初読時、『高丘新王航海記』オマージュで印象深かった作品。
　大きな蜜色の琥珀“真床追衾”に封じられた幼帝安徳天皇と、幸薄き詩人王実朝の出会いと不思議な繋がりを描く第一部。その時々の事情に合わせて実朝の歌が都合よく解釈されているのも、むむむ…と面白い。更に時が流れ、南宋の名ばかりの皇帝が琥珀のうつろ舟を見出す第二部。濃厚な蜜色の光に包まれて語らう2人の少年皇帝の、失われた時を夢の中で取り戻そうとする姿は美しくも儚くもあって胸を衝かれる。終盤のめくるめく眺めにはやはりのけ反ったけれど…。
　そして解説が皆川博子さん。おお。