1月27日(火)のつぶやき(読んだ本、『砂時計』 再読)

@rinakko 11:05
【砂時計 (東欧の想像力 1)/ダニロ・キシュ】を読んだ本に追加

 再読。素晴らしい読み応え。揺れる影とかげろう炎の描写、砂時計の形をイメージさせてからの二面鏡を挟み対峙する二つの横顔…のだまし絵へ繋がる冒頭に圧倒される。著者の父親(作中ではE・S)が末の妹へ宛てて書いた手紙から再創造され、狂気と苦悩へ追い詰められていった晩年を解読せんとして描かれた世界である。
 「庭、灰」を読んだ際に驚いたその父親像や、当時の状況を思い出しながら読むと多少の補完になるが、作品の重みは変わらない。真の狂気の一歩手前に踏みとどまるかの如き主人公の独白、その鬼気迫る筆致に覚える畏怖の念はいや増す。そして終章に胸をうたれた。
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