4月2日

 小川公代『ゴシックと身体 想像力と解放の英文学』を読んだ。
 
 19世紀におけるゴシック小説が果たした役割を読み解く、“戦術”という切り口が思いがけなくて頗る面白かった。
 
 フランス革命、バラッド的テーマの流行、当時の自己保存の思想…などが重なって生まれた特異なジャンルが、新しいヒロイン像を描くことで、家父長的な文化に異議を唱えたり女性解放のテーマを推し進めることになっていく。
 『ユドルフォの謎』の想像力と空想力の件、『放浪者メルモス』の結婚というメタファーについて、『嵐が丘』の「内なる神」という思想、マイノリティ性を抱える人たちのヴァンパイア物語…などなど、「なるほど!」と頷きまくりだった。
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