ボフミル・フラバル、『剃髪式』

 『剃髪式』の感想を少しばかり。

 “私が大好きなのは、夜の七時を迎えるあの数分間。” 7頁

 フラバルこれも好きだ!うおん! 黄色い光がにじむ素晴らしい冒頭から、うとりうとり…すっかりひき込まれた。読みながら途中で呑みたくなって傍らにビール…で堪能し、至極満足だったことよ。

 人々の関心や生活ぶりが大きく変わろうしていたチェコを背景に、作者自身のルーツをたどるべくフラバル一家を描く作品。マリシュカとフランツィンの結婚生活が話の中心になるのかと思いきや、そこへペピンおじさんが居座りにやってくる…(蓮っ葉でおきゃんなマリシュカが、義兄とつるむ件はすこぶるお気に入り)。
 はっと心を奪われるほど美しい情景が幾つも広がり、そしてその中心で耀いている“ビールのような”髪の描写は忘れがたい。
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