3月15日

 アヴラム・デイヴィッドスン/池央耿訳『エステルハージ博士の事件簿』を再読した。
 
 やはり面白くて隅々まで大好きだった。
 ペダンティックではありつつどこか飄然とした作風が、エステルハージ博士その人の風変わりな魅力にも重なる。一筋縄ではいかない三重帝国の人々が織りなす、一筋縄ではいかない怪奇な事件とその謎の行方…。

 お気に入りは「神聖伏魔伝」(なぜか皆“縫い取りのあるチョッキを掴んで…堆肥の山に倒れ込む”)、「イギリス人魔術師 ジョージ・ペンバートン・スミス卿」、「真珠の擬母」(オンディーヌ!)。
 そして今回は、「夢幻抱影 その面差しは王に似て」の夢の一片を追うような儚さがあらためて沁みた。

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