10月に読んだ本

2013年10月の読書メーター
読んだ本の数:23冊
読んだページ数:6588ページ

ピサへの道 七つのゴシック物語1 (白水Uブックス 海外小説 永遠の本棚)ピサへの道 七つのゴシック物語1 (白水Uブックス 海外小説 永遠の本棚)の感想
すこぶる面白く読んだ。どの話もとても好き。たとえば一つの話の中で、呼び寄せ合ったかの如く次々に個々の物語が連なっていくかと思えば、聖俗の境界が失われていくような不思議な展開に目を丸くした。本物と偽物間のゆらぎ、そしてそれが反転した時に見えてくるもの…という流れもツボだった。落としどころがこれまた心憎く、最後の1行にたどり着いてからの、来し方を振り返る余韻の深さも忘れがたい。とりわけ以前から読んでみたかった「猿」のラストにはかなり意表を突かれたが、呆気にとられた後のじわじわ効いてくる感じが素晴らしかった。
読了日:10月31日 著者:イサクディネセン
愛の渇き愛の渇きの感想
とらわれ夢中で読み耽った。胸ぐらを掴まれ、引きずり込まれ。とは言え、少女期のガーダの章はあまりに辛く、己自身が苛まれているような読み心地に、指先が凍え幾度も立ち竦んだ。母親から全否定されながら生きる少女の、おぞましい孤独。無自覚な諦めは凍傷になって、その未来をも蝕む。私の中にもリジャイナがいたり、ガーダがいたりするだろう。幾つになろうと彼女たちを宥めるのは難しい。物語は終わらせられても、思いは解きほぐせない。と、そんなことを思いつつ、傷口に瘡蓋を作らないでえぐり続けるような作風に、なぜか魅了されてやまない
読了日:10月29日 著者:アンナ・カヴァン
家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)
読了日:10月27日 著者:沼正三
未来の回想未来の回想の感想
“四歳のマークスのお気に入りは、チックとタックの話だった”(5頁)。時間にとり憑かれた男が、己の生涯の全てをかけた“時間切断機”の制作。戦争も革命も掻い潜り、彼が目指したものとは…。というSFなのだが、実際に読むと度肝を抜かれる。すこぶる面白かった。
読了日:10月25日 著者:シギズムンド・クルジジャノフスキイ
消しゴム (光文社古典新訳文庫)消しゴム (光文社古典新訳文庫)の感想
ふふふ、面白かった! 自分の不調も被ってきて、いささか眩暈感増しだったかも…。解説の内容も興味深く、慌てて“四つ切りトマト”の箇所を読み返したことよ。
読了日:10月24日 著者:アランロブ=グリエ
売女の人殺し (ボラーニョ・コレクション)売女の人殺し (ボラーニョ・コレクション)の感想
素晴らしい読み応え。
読了日:10月23日 著者:ロベルトボラーニョ
新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫)新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫)
読了日:10月21日 著者:
マンゾーニ家の人々(下) (白水Uブックス178)マンゾーニ家の人々(下) (白水Uブックス178)の感想
素晴らしい読み応え。…て言うか、今はもう、一族とどっぷりお付き合いさせていただいた気分。イタリアの統一運動を支えた国民的作家、アレッサンドロ・マンゾーニ。二人の妻、その子どもたち。マンゾーニが母親に勧められるがままに迎えた後添いは、可憐で心優しかった先妻とは真逆のタイプだった…。強烈に自己中な後妻テレーサの為に、平穏な一家は一転し、ほとんど離散してしまう。でもマンゾーニ自身は後妻のことが満更でもなく、欠点だらけの彼女を必要としていたのかしらん…なんてことも、様々な書簡から伝わってくる。そんなところも面白い
読了日:10月20日 著者:ナタリアギンズブルグ
マンゾーニ家の人々(上) (白水Uブックス177)マンゾーニ家の人々(上) (白水Uブックス177)
読了日:10月17日 著者:ナタリアギンズブルグ
日々の泡 (新潮文庫)日々の泡 (新潮文庫)の感想
再読。後半の凄みに、とり憑かれた。思いつめた恋人たちの頽れゆく姿が、異様で美しい。可憐なクロエが愛されるほど、私はアリーズの狂おしさに魅かれ、胸が痛むのだが。(そうは言っても今回は、病んだクロエの場面の、“がつがつと吸いこんでいる”が効いた…。)
読了日:10月16日 著者:ボリスヴィアン
カルニヴィア 1 禁忌 (ハヤカワ・ミステリ 1875)カルニヴィア 1 禁忌 (ハヤカワ・ミステリ 1875)の感想
知らされる事実は辛かったけれど、面白く読んだ。
読了日:10月15日 著者:ジョナサン・ホルト
おはなしして子ちゃんおはなしして子ちゃんの感想
素晴らしい。どの作品も。ふるえるくらい。秘めておきたいくらい。
読了日:10月14日 著者:藤野可織
新装版 たのしいムーミン一家 (講談社文庫)新装版 たのしいムーミン一家 (講談社文庫)
読了日:10月12日 著者:
絶望 (光文社古典新訳文庫)絶望 (光文社古典新訳文庫)の感想
もう、タイトルからして唸る。唸る唸る。“高度な芸術的技巧を注いでおこなわれた”、完全犯罪。“最大の動機ぞかくや”。ぐるぐるぐる…と、思うことは尽きない。
読了日:10月11日 著者:ウラジーミルナボコフ
ジュリアン・グリーン全集 1 (1)アドリエンヌ・ムジュラジュリアン・グリーン全集 1 (1)アドリエンヌ・ムジュラの感想
息苦しくも圧倒された。18歳の娘の心象が、廃墟へと成り果てる。その意識の流れを追う筆致に、絡め捕られた。頑迷過ぎて異様な父親と病の姉との、変化のない牢獄のような生活。ただ最初に目に付いた誰かのことを、勝手に救いの手の持ち主と思い込んでしまったような…唐突な恋。内向的な少女が嫌いではない私でも、アドリエンヌの歪な思惟には寄り添えない。にも関わらず、この娘はどうなってしまうのか…と、目が離せなかった。鍵をかけられた鉄格子の門は、現実の庭よりも、アドリエンヌの心をこそ閉ざし、荒れさせ、言葉を封じてしまったのだ。
読了日:10月10日 著者:ジュリアン・グリーン
漁夫とその魂漁夫とその魂の感想
思いのほか好みだった。魂を欲しがらない方の水の女、〈海の王〉の一人娘に恋をした若い漁夫が、〈海の民〉の夫になるために己の魂を追い出してしまう話。心を与えられなかった魂は、一人遍歴を重ねてはまた海辺に戻り、海の底の漁夫に呼びかけたが…。
読了日:10月8日 著者:BOOKS桜鈴堂
新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)
読了日:10月8日 著者:
カフカの父親 (文学の冒険シリーズ)カフカの父親 (文学の冒険シリーズ)の感想
すこぶる奇妙な味わいがよかった。楽しみにしていた表題作は唸るくらい短くて、一読したら忘れられない作品だった。他にとりわけ好きだったのは、「『通俗歌唱法教本』より」(音の重さと固さ、色彩、その他の特性について…)と、「ゴーゴリの妻」。「ゴーゴリの妻」は、“生涯秘密にしていたニコライ・ワシリイヴィッチの妻に関する複雑な問題”って、いきなりそれかよ…と唖然としつつ。「狼男のおはなし」や「ころころ」、「キス」も面白かったし、「手」の気持ち悪さも後をひく。
読了日:10月7日 著者:トンマーゾランドルフィ
外套外套
読了日:10月7日 著者:ニコライゴーゴリ
失われた時を求めて(5)――ゲルマントのほうI (岩波文庫)失われた時を求めて(5)――ゲルマントのほうI (岩波文庫)
読了日:10月6日 著者:プルースト
シャーロック・ホームズの生還 (シャーロック・ホームズ 3)シャーロック・ホームズの生還 (シャーロック・ホームズ 3)
読了日:10月4日 著者:アーサー・コナンドイル
亡国の薔薇<下> (英国式犯罪解剖学) (創元推理文庫)亡国の薔薇<下> (英国式犯罪解剖学) (創元推理文庫)
読了日:10月2日 著者:イモジェン・ロバートスン
亡国の薔薇<上> (英国式犯罪解剖学) (創元推理文庫)亡国の薔薇<上> (英国式犯罪解剖学) (創元推理文庫)
読了日:10月1日 著者:イモジェン・ロバートスン

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