5月15日

 @rinakko
 【完璧な病室/小川 洋子】を再読した本に追加

 幾度も読み返した偏愛本。
 “弟がぶどうを食べる時のように美しい食べ方をする人は一人もいなかった。(略)
 ぶどうを食べる時の、淡い紫色に染まった弟の指先は、上等な工芸品のように繊細だった。混ざりけのない透明な皮膚に、ぶどうの果汁がしみとおっていくのを、わたしは飽きもせずじっと見ていた。それがとても快感だった。” “──食べる、ってことは、どうしてこんなに美しくないんだろう。──” 表題作の主人公が持つ“有機体”への嫌悪感、今読んでも身に覚えがあって懐かしさで苦しくなる。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )