7月5日(読んだ本、『レヴィアタン』)

 @rinakko
 【レヴィアタン (1982年) (ジュリアン・グリーン全集〈8〉)/ジュリアン・グリーン
 
 息を詰めて読み耽る。暗鬱なジュリアン・グリーンの作風、その閉塞感の中に捕らわれるのが相変わらず私にはしっくりくる。始めは無害に見えて人から侮られたゲレという怪物、登場人物たちの内側に巣喰い蝕んでいく情念や蒙昧、そして彼らを繋げて押し流していった醜い運命、その其々が神なき世のレヴィアタン…なのだと。

 “それは苦痛と血みどろの怖ろしい人生であり、短くも長くもなく、人間の普通の慣習では測れないがそれ自体完結していて、彼の実際の人生の中に、さながら一日、二十四時間のあいだに見た一つの夢のように挿入され、しかも、夜の幻想が、真昼間に行なう我々の行動と似てない以上にこの人生とは似ても似つかないものなのであった。”

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