7月20日(読んだ本、『パリンプセスト』)

 @rinakko
 【パリンプセスト (海外文学セレクション)/キャサリン・M・ヴァレンテ】を読んだ本に追加
 
 すこぶる好みな作品だった。夢の中で訪れた街〈パリンプセスト〉に魅入られた幾人もの男女が入り混じり、再びその道を見出すために体のどこかに地図を持つ相手を探し求める。そして、出会えたならばすぐにも体を重ね合おうとする。…という何とも異様な設定ではあるけれど、“体を重ね合おうとする”理由が彼らなりに狂おしく切実で、現実でのその行為の意味合いからは乖離していく…そんな感覚も面白かった。
 あまりにも不可解なパリンプセストの成り立ちにぐらぐらと何度も眩暈しつつ、“魂が焦がれてしまう場所”に憑かれ、そのことによって結ぼれ合わされていく人たちの物語に耽溺した。

 主要人物の1人であるアマヤ・セイの滞在している京都が、私の知るあの古都とはどこか違う。読んでいて惑わされる感じがまたよかった。

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