ウンベルト・エーコ、『バウドリーノ』

 風邪と重なったが楽しかった。『バウドリーノ』の感想を少しばかり。

 こういう優れた娯楽小説については、とにかく面白いのだ!どっぷり楽しむのみ!…くらいしか言いたい言葉が見付からないのですが。
 語り手でもあるバウドリーノ曰く、彼の吐いたまことしやかな嘘はことごとく、いつか本当のことになってしまうのだそうだ(嘘が本当の先?嘘がおびき寄せる本当?) …そう、この言い草からしてすでに眉つばである(ぼそり)。そんなバウドリーノが、巡礼者(十字軍士のこと)たちに踏みにじられたコンスタンティノープルで、一命を救った歴史家ニケタスという願ってもない恰好の聴き手を得て語り始めた、その数奇な半生とは…。
 この人の話は今一つ信用ならん…と承知の上で、法螺かも知れないけれど本当(例えばバウドリーノにとっては、とかでも)なのかしらん…?少しは本当?どこまで本当?などと惑わされながら読むのがすこぶる楽しかった。信用ならないと言う前提が、案外楽しめるのだから世話がない。どうせ騙されるなら大法螺だ!でももしかしたら本当かも知れないんだ!

 上巻の、養父である赤髭王フリードリヒの為に、バウドリーノが仲間たちと司祭ヨハネの偽手紙を書き上げていく件などは、「こ、こやつら悪乗り……」と思いつつ可笑しくて笑ってしまったが、実はこの手紙の余波がやがてとんでもないことになっていく。その辺りの展開には唸った(嘘がおびき寄せる本当?)。しかも、この手紙に書かれている事柄が、下巻の内容と見事に呼応していて素晴らしい。
 そんなこんなで上巻も充分に楽しんだが、いよいよ東方への長い旅が始まる下巻に入ってからの面白さは怒濤だった。アブハジアの闇とかプンダペッツィムのあたり、本当に素晴らしくて夢中で読んでいた(スキアポデス好きだー)。終盤の謎解きも堪能したし、その後の本当のラストにもすこぶる満足。ぐっときた。
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12月9日(木)のつぶやき

08:40 from web
おはようございます。うっかり容器の蓋を捨ててしまって、コーヒーを飲めない朝です。詰め替えしかないんだもの! しょうがないから緑茶とか昆布茶とか。夫が休みを取ったので、つられてだらだらしている今…。
08:48 from web
「悪魔に食われろ青尾蠅」の青尾蠅って、「ハマースミスのうじ虫」のうじ虫的なものなのだろうか…。読めばわかるか。
16:57 from web
霰なう…。とうとう来た、いよいよますます冬。
17:37 from web (Re: @catscradle80
@catscradle80 あ、リョサ、実は私もそれを狙っています~。買うならそれですねぇ。「世界終末戦争」も面白そうですが、何せ3冊は買えないし(笑)。
17:56 from web
雷付きの氷霰なう。雷は割かし好きだけれど。
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