計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

コアコンピタンスのポートフォリオ

2019年05月28日 | オピニオン・コメント
 このブログは本日をもって、開設より4900日目を迎えました。
 
 そんな日に、一つ気になる記事を見つけました。
 NEC、創薬事業に本格参入 AI活用、新型がんワクチン (gooニュース・共同通信)

 記事によると、NEC(日本電気株式会社)がAIを用いて創薬分野に参入するそうです。私にとって「NEC」と言えば、やはり「PC-9801」シリーズなどに代表されるコンピュータやOA機器のイメージが強いです。子供の頃は「PC-6001mkII」「PC-8801FA」「PC-9801F2」などに触れ、プログラミングに親しんだものです。

 さて、現在では、様々な電気・電子・機械メーカーが医薬品事業に参入するなど、従来の専門分野の垣根を越えて異業種参入する動きが見られます。その内、気象情報分野への異業種参入も珍しい事では無くなるでしょう。見方によっては、既に始まっていると言っても良いかもしれません。私も元々「気象学」ではなく「工学系」に身を置いていたので、「異分野参入組」と言えるでしょう。

 かつて、半導体事業に従事していた頃、当時の経営幹部から「これからは各自の『コアコンピタンス』が大事だ」と力説されたものです。この考え方については、私も同意見です。

 さらにこれからの時代は、自分のコアコンピタンス、もしくは「専門分野」と呼べるものは少なくとも「複数」必要になるでしょう。それらの専門分野(コアコンピタンス)について「フレキシブルなポートフォリオ」を確立することが求められるのではないか、と思います。

 ビジネスの世界は常に変化しています。一旦ポートフォリオを確立したからと言って、それがいつまでも通用するとは限りません。事業の対象分野がガラッと変わってしまうことも珍しくありません。どのような分野にも対応し得る基礎を固めつつ、様々な応用分野に目を向け、チャレンジし続けることが求められる時代になって来ているように感じます。

 さらに、巷では「AI」という言葉が「流行のファッション」のように使われています。周知の通り、AI(人工知能)は過去の蓄積された情報を基に類推・判断する事に長けています。つまり「与えられた問題を解く」事については、物凄い能力を持っています。これからの人間の役割は、むしろ「AIに解いてもらう問題」を見出すことにシフトすることになるでしょう。

 社会やビジネスの多様化は、それまでの細分化された専門分野を幾つも横断・融合するような課題を有しています。複数の分野から成るポートフォリオによって、新たに解くべき問題を見出す・・・例えば、Aの分野とBの分野を組み合わせたCという問題を設定する所までは人間が担い、それを解くのはAIに委ねる(人間がやると途方もなく骨の折れる仕事)という流れになるでしょう。

 何となく、そんなことを感じました。

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