計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

一方向に伝わる電磁波

2023年05月03日 | 物理学の基礎
 前回の記事では、マクスウェル方程式のイメージを概観した後、真空中の条件下における電場と磁場の波動方程式を導出しました。



 今回は簡単のため、電磁波が「1方向(z軸方向)にのみ」伝播する場合を想定します。つまり、電場と磁場は位置(zのみ)と時間(t)の関数として扱われます。この時、電場と磁場のベクトルの発散と回転は次のように求められます。



 この結果を「マクスウェル方程式(真空中)」に代入すると、電場と磁場の成分について次のような関係式を得ます。


 上記の赤字で示したように、電場と磁場のz方向(波の進行方向)成分は変化しません。つまり、電磁波は横波であることが判ります。

 また、「電場のx成分と磁場のy成分」および「電場のy成分と磁場のx成分」が互いに影響を及ぼし合う関係(波動方程式)が導き出されます。電場の波と磁場の波は互いに直交することが判ります。



 そこで、新たに「電場はx軸方向にのみ変化し、磁場はy軸方向にのみ変化する」と仮定しましょう。また、電場の波動方程式の解を「sin(ωt-kz)」の関数と仮定します。ここで、ωは角振動数、kは波数です。

 なお、初期時刻(t=0)の原点(z=0)では電場・磁場ともに変位を生じない(E=H=0)ものとします(初期条件)。



 計算の結果、磁場の波動方程式の解も「sin(ωt-kz)」の関数で表される事が導かれました。すなわち、電場と磁場の波は同位相で伝わることが判りました。

 この場合の電場と磁場の波のイメージをCGで描いてみると、次の図のようになります。




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