計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

「今頃」気づいた事ですが・・・

2008年02月03日 | 気象情報の現場から
 気象庁のホームページから高層実況観測データが閲覧できるようになりました!と言うより、なってました。2007年12月26日に公開を始めたとの事なので、約1ヶ月前からと言う事になります。気象庁トップページ→気象統計情報→過去の気象データ検索→高層の気温・風など・・・まあ、こちらから入って見て下さい。

 かつて山形県置賜地方の局地気象解析を行う際に、地上と高層の対応を分析するべく、高層天気図(AUPQxx,AXFExx)やエマグラム等から図示された記号を読み取って、高層の風や気温の観測値を何とか探り出そうとしていた頃の事を思うと・・・喜ばしいのは確かに喜ばしいのですが、もっと早く実現して欲しかった・・・と言うのが正直な思いです。ただ、これからは高層データも扱いやすくなります

 数値シミュレーションを構築するに際しても、基本的場の設定(初期条件や境界条件etc.)には高層データが欠かせません。局地気象の複雑な構造を境界条件に反映するためには、物理量の鉛直プロファイルが必要不可欠な情報です。こちらも漸く長い間悩まされてきた境界条件に関する問題も一段落したので、色々な実際に観測された鉛直プロファイルを解析してみたいと考えています。

 この週末は久しぶりに、Sawyar-Eliassenの鉛直循環と前線形成関数、Qベクトルのω方程式に関する気象力学の理論を勉強していました。これらの理論は鉛直流ωの発生メカニズムに関するものですが、従来とは異なる視点からのアプローチがなされています。低気圧や前線形成に対する認識が変わったのと同時に、大きな驚きと興奮を覚えました。以前、勉強した際はさすがに難しくて挫折してしたのですが、色々と勉強・研究を重ねて来た事で漸く、このような議論にcatch upできるようになってきました。

 最近はどちらかと言うと、数値シミュレーションやデータ解析に関する基礎解析技術の研究に重点を置いていましたが、やはり究極のターゲットである気象の理論に対する理解を深めていかなければなりません。今回、気象庁ホームページから、従来の地上データに加えて高層データまでが公開された事で、より一層、局地気象に関する研究・解析も進め易くなります。
コメント (6)
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