退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「サーカスあるいは言語」について

2016-01-19 03:27:46 | Weblog
雨のち晴れ。やや風強し。

ジェイミー・バートレット「闇ネットの住人たち」を読む。

副題に「デジタル裏社会の内幕」とあるように
いろいろな世界が繰り広げられている模様。

承認欲求、表社会より優れたサービス、反権威、ビットコイン、ポルノなど。
ある種の「サーカス」のようなものだと思えばいいのか。

個人的にはあれこれめんどくさそうなので
ちょいと「見物」するくらいで十分。

「誰とでも簡単につながれるテクノロジー」が生み出すさまざまなかたち。
ダンテ「神曲」の現代版だとしておく。

いずれも「自分好みの特定の情報」に濃厚に接しているのがポイント。
繰り返すが「褒められたい人に褒められたい」と思うのだけれど。

ある時期以降「友だち」が「質より量」として意味を持つようになった。
「貨幣」同様信じられるものが「数」になったらしい。

「数字で測ることの出来ないもの」についてあらためて考えてみたいもの。
「わかりやすさの罠」とでも言っておこう。

おそらくはわれわれの「読解力」が試されている。
「『本』としての世界」をもっと複雑に味わいたいもの。

最後に「言語能力」が浮上する。
「進化の源」を無視するのは「滅びへの道」。

もちろんコミュニケーションのかたちは言語に限らないとはいえ
われわれはそれに頼るよりないのだから。

どんな主義主張であれそれらは言語を通じて行われる。
「言葉にならない」という言葉の意味を知ろう。
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「まだまだ広い世界と束の間の微笑あるいは公共性」について

2016-01-18 02:08:12 | Weblog
晴れ。まだまだ本格的な寒さは来ず。

佐野洋子対談集「ほんとのこと言えば?」を読む。

小沢昭一、河合隼雄、明石家さんま、谷川俊太郎、大竹しのぶ、
岸田今日子、おすぎ、山田詠美、阿川佐和子。

著者とは「初顔合わせ」。
エッセイを読んでいないだけにその魅力は今ひとつといった具合。

絵本についても同様なので何とも「隔靴掻痒」。
その上での印象は「武田百合子」あるいは「身体を張らない」中村うさぎ。

「理路整然」とは対照的だけれど
「何となく凄い指摘をしてしまう」タイプのよう。

これを「ご縁」にもう少し深く知ることができればと思う。
もっとも「100万回生きたねこ」さえ読んでいないのだからいやはや。

かくして「出会い」は続く。

図書館へ行く電車の中で
久方ぶりに赤ん坊と目が合う。

向こうから微笑かけてきたのでいちおう返しておく。
彼はお菓子に夢中で祖母に盛んにねだっていた。

ベビーカーの日除けカバーを両手で持って「いないいないばー」をしきりに。
実にキュートで好ましいことしきり。

マル激を観る。

NHKという組織には外部からの「チェック機能」がないことを知る。
「ミモーとマモー」なら笑えるものの「モミー」はどうにも。

「公共性」ということについてわれわれがいかに鈍感であるかということも。
自らの意見に関係なく「まともであること」を尊重する態度について。

「自分にとっての都合よさ」を臆面もなく使えることが
実は「卑怯」だという「事実」を知ろう。

そのあたりの感覚が「共通認識」になればとは思うものの
そこはそれそうもいかないのが「通常」。
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「おだやかな言葉と新しい場所」について

2016-01-17 02:50:50 | Weblog
晴れ。やや冷える。

荒川洋治「世に出ないことば」を読む。

詩人の随筆のおだやかな言葉遣いに和む。
地名にこだわるあり方にふむふむ。

ところどころに強烈な批評もありつつ。
ただ小津も黒澤も好きでいいんじゃないかと思う。

もっとも当時前者が「持ち上げられた感じ」に反発したのだろう。
それもこれも「泣き虫プロフェッサーH」が原因ではある。

さて。

今宵はもうクインビーに行けないので地元の老舗バーに偵察に行く。
たどりつくまでしばしウロウロ。

来月で店を辞める若者に「以前から知っているような気がします」と言われるが
もちろん初対面。

その後マスターからスコッチやこれまでの店の「歴史」について教えられ
はたまた古語で記された「四十八手」の本なども見せられ。

いかにも神戸出身らしくオシャレな方。
ついついあれこれうなずいているうちに終電を逃し「深夜の散歩」など。

最初はスコッチであとはいつものゴードンのジン。
すっかり酒が抜けてしまったので補充中。

とはいえ思い通りの展開にニコニコ。
どうやら毎週通うことになりそう。

ただしマスターが高齢なのでどうなることやら。
残念ながらここでも「客筋」はあまりよくなさそうなのが残念。

とはいえあまりコストをかけずに新しい「場所」を見つけられてラッキー。
この種の「ご縁」のみに恵まれているらしい。
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「狂気あるいは物語」について

2016-01-16 03:01:30 | Weblog
晴れ。寒さは緩む。

北海道雪崩事故防止研究会編「決定版 雪崩学」を読む。

毎年のように雪崩で死んでしまう人々はいるはず。
それでも「雪山と付き合う」というのはこういうことか。

雪の科学的分析と雪崩をどう生き延びるかについてのあれこれ。
ビーコンその他具体的な「技術」も盛りだくさん。

雪山に興味のない人々からすればほとんど「狂気の沙汰」だったり。
その種のひとりとしては妙な感慨を覚えることしきり。

深夜「五十回目のファーストキス」(’04)を途中から再見。

交通事故で記憶が一日しかもたなくなった女性と
プレイボーイの獣医が出会った結果。

ハワイのいかにも「みんな知り合い」という感じにほのぼの。
ドリュー・バリモアとアダム・サンドラー。

獣医の行為もまたある種の「狂気」のようで。
ダン・エイクロイドが医者をやっているのだからさもありなん。

わが国では中島哲也「パコと魔法の絵本」(’08)が
同じような題材を扱っていたはず。

「記憶」は「ウソをつく」ことも少なくないけれど
人の「歴史」でもありその人がその人である「理由」でもある。

「幸せな記憶」に囚われる人もいれば「不幸せな記憶」に囚われる人もあり。

それぞれにどういう「物語」を作るかは
実は「解釈次第」であることを覚えておいてもいいだろう。

不自由だからこそ自由であること。
「寿命」が尽きるまでエンドマークは出ない物語を生きよう。
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「厳しさと妖しさとややこしさ」について

2016-01-15 01:52:52 | Weblog
『晴れ。夜風が身に沁みる。

「ボビー・フィッシャーを探して」読了。

子どもに賭けてしまう親のエゴよ。
「チェス親」と呼ばれる彼らは大会になると紳士からゴロツキに変身する模様。

オリジナルは今から28年前に出ているらしいので
現在のアメリカのチェス界がどうなっているのか知りたいところ。

公園で賭けチェスをする風景の中にさまざまな人生が。
「時間切れ負け」を基本とする早指し専門のタイプなども。

神経戦が大きな要素になっているあたりが興味深い。
昔懐かしい「麻雀放浪記」におけるそれを思い出したりして。

「勝負事」の厳しさと妖しさをあらためて知った次第。

さて。

巷で大きなニュースになっているのが「SMAP解散」。

そもそもアイドルに興味などないけれど
「ジャニーズ事務所」という「権力」がひび割れたのにはふむふむ。

どこの世界においても「権力」が長続きするのはよろしくないし
「栄枯盛衰」は世の常でもある。

少なくとも「ジャニー喜多川」という人物によって
わが国の「女子の好み」が「限定」されるのにはもう飽きた。

そうでなくとも「ヤンキーあるいはホスト系」に人気がある土壌は相変わらずで
そのことにもいい加減うんざりしているのだけれど。』と書いて昨日は寝る。

晴れ。コートのボタンを留めたら案外寒くない。

岩田健太郎「医療につける薬 内田樹・鷲田清一に聞く」を読む。

楽しく読んで終わる。
鷲田清一が「語源」をよく使うのにふむふむ。

喫煙者としては案外タバコの話が多いのに驚いた次第。
確かにタバコに関してはヒステリックな反応が多いのは事実。

禁煙外来のCMでは寿命が十年縮まるとか。
長生きすることが「迷惑」なことも少なくないことを知っていただきたい。

控えめでないジジババについては特に。
自分がそうならないことも含めて。

「インフォームド・コンセント」がむしろいたずらに「素人」をのさばらせて
やたらに白黒つけたがる弊害もあるよう。

威張る専門家にも困るもののいずれどっちもどっち。
あらためて「中庸」であることの大切さを思うのみ。
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「探すのは狂うのに似ていること」について

2016-01-13 02:36:08 | Weblog
くもり。寒さが強まる。

フレッド・ウェイツキン
「ボビー・フィッシャーを探して」を半分くらい読む。

ボビー・フィッシャーはチェスの世界チャンピオン。
72年から4連覇を果たした後引退して隠遁生活へ。

92年に一度復活するも再び世界各地を転々。
一時期は日本でも暮らしていたらしいが08年に死去。

本書は今のところ息子にチェスの才能を見出した父親と
その周囲を取り巻く「チェス狂い」の人々を描いている感じ。

冷戦時代のソ連の様子も興味深い。
政治的配慮のために「わざと負けること」を要求されたり。

わが国の将棋で言うところの「真剣師」もいたよう。
そういえば団鬼六に「真剣師 小池重明」という作品もあったか。

「~を探して」というタイトルで思い出すのは
ウディ・アレン「ミスター・グッドバーを探して」(’77)。

あるいはチャン・イーモウ「あの子を探して」(’99)
ロザンナ・アークエット「デブラ・ウィンガーを探して」(’02)など。

サイモン&ガーファンクルは「All gone to look for America」と歌い
U2は「But I still haven't found what I'm looking for」と歌ったり。

本書は93年に映画にもなっている模様。
未見なのでどういうものかはわからないのだけれど。

とりあえず楽しく読めるのはありがたい。
明日読み終える予定。

今宵ももうちょいと飲んで寝るはず。
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「義太夫つながり」について

2016-01-12 03:03:25 | Weblog
晴れ。冬らしさが増す。

橋本治「義太夫を聴こう」を読む。

著者の「身体に沁みた知識」の凄さにあらためて驚く。
優れた耳の持ち主であることも同様に。

それにしてもこの解説の素晴らしさよ。
一度も聴いたことのない義太夫の魅力がひしひしと伝わってくる。

鶴澤寛也の演奏がyoutubeにあったので載せておく。
ついでにこちらの連弾きも。

「浄瑠璃を読もう」という作品もあるようなので
今度また図書館で探すつもり。

妹背山婦女庭訓」「京鹿子娘道成寺」「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜
菅原伝授手習鑑」「国姓爺合戦」など。

ちょいと検索するだけで聴けたり見られたりするのだからありがたい限り。
たまには古典芸能などいかが。

落語の「寝床」も。
えーい、ついでに聞いちまえってとこ。

こう、なんてぇんですか、
ええ、どってこともない、んー、噺を一席。

などとついつい下手な真似をしたくなる口調を味わおう。
思わず「寝床」の旦那みたくなってしまうわけで。

お江戸日本橋七ツ立ち~♪
気分がよくなってきたあたりで寝る。
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「終わったものと終わってないもしくは終わっているもの」について

2016-01-11 01:52:28 | Weblog
晴れ。風が冷たい。

9日はクインビー最終日。

久方ぶりの友人といつものメンバーで朝まで飲む。
席はほぼ埋まった状態でまずまず。

マスターにお疲れ様でしたと声をかける。
ジンとワインとバーボンでいささか調子に乗った次第。

昔は毎週土曜がこんな感じだったのに。
知り合いの奥方と「集客って難しいね」と話す。

途中から友人がめんどくさい話をし出したのでそれにも付き合う。
たまにはいいだろう。

それにしても今週末からどこへ行けばいいのか。
しばらくあちこちをさまようことになりそう。

阿部彩「子どもの貧困Ⅱ」を読む。

街中の人々の顔が煤けているのはこういうわけかとあらためて思う。
「家庭」という閉ざされた空間で「怪獣」が育つのにも納得。

「一億総中流」などというのも今は昔。
現実に多くの人々が貧困に苦しんでいる事実を認めよう。

ここで参考になるのは今週のマル激。

「GDP」はもはや「大企業の収益率」を表すものでしかないということ。
もちろん「トリクルダウン=おこぼれに与る」こともない。

大企業の業績と自分の周囲の生活はむしろ「反比例」。
「インチキ」が堂々とまかり通る「社会」より「小さな世界」をコツコツと。

ただし借金を背負うのはリスクが大きすぎるのでご用心。
とりあえず好ましい「人間関係」を各地に。

少なくとも若者たちには
「生き延びるための技術」を身に付けていただきたいもの。

「まっとうな仕事」をしつつそこそこの生活を確保してもらいたい。
要は「楽しく暮らそう」ということで。

さて。

クインビーで久方ぶりに会った友人は
いまだに自分が「恵まれた存在」であることの自覚が薄そう。

ちょいと「飛ばされた」ぐらいでへこんでいるのだから何ともはや。
ここでも口にされたのが「家族がいるから」。

おいおい。

もう少し客観的に「世の中」を眺めよう。
君は「シングルマザーの家庭」と「自分の家庭」のレベルの差に気付いていないのか。

「今の生活を維持したい気持ち」と
「今の生活からどうにも抜け出せない気持ち」を。

この圧倒的な「鈍感さ」よ。
「昔の自分」を見るような気がしてどうにも気になったのでちょいと。

今宵も適当に飲んで寝ることにする。
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「シナリオの大切さと『法』より『正義』であること」について

2016-01-09 03:58:28 | Weblog
くもりのち晴れ。夜風が冷たい。

古山敏幸「黒澤明の作劇術」を読む。

「脚本」という視点から黒澤作品を振り返った内容。
彼のDNAを継ぐ監督たちについても。

助監督時代から優れたシナリオを書いていたのは承知していたものの
小国英雄、井出雅人、菊島隆三、橋本忍、植草圭之助、久板栄二郎らの力もあり。

そうした「共同執筆」がさらなる魅力を生み
黒澤自身の演出力も相俟って素晴らしい作品ができたのだというのにふむふむ。

もっとも「脚本という視点」からだから
撮影・音楽・録音・衣装・照明・大道具小道具などの力については別の話。

肯定的であろうと否定的であろうと
みんながあれこれ言いたくなる魅力を持つのが黒澤作品であることは間違いない。

ただ残念なことに若い世代で実際に黒澤作品に接する者が多いかというと微妙。
学校のイベントとして観るようにするのがいいかも。

一番いいのは各地に「名画座」が復活すること。
「映画図書館」のような形でもいい。

「いいもの」が誰にでも簡単に観られるようにするのは重要。
映画だけでなくあらゆるものについても同様。

おそらくそれが「やせた土壌」を豊かにするはず。
圧倒的なものに出会うと「背骨」が揺すぶられるから。

あらゆる「貧しさ」がわが国を覆っている現在
どこかに「豊かさ」を発信する場所がないと。

深夜「ザ・シューター 極大射程」(’06)を観る。

引退した優秀なスナイパーが大統領暗殺の阻止を頼まれ協力するものの
実はそれが陰謀で主人公は殺されかけてというお話。

マーク・ウォールバーグが精悍な男になって登場。
ダニー・グローヴァーが珍しく悪役で。

上院議員のネッド・ビーティがいかにもな感じで好ましい。
あれこれの爆破シーンに迫力あり。

死んだ友人の妻に協力を求めた時点で
彼女が敵に狙われるのは当然なのを見逃すあたりがややキズ。

一見役立たずな新米FBI職員が有能なのはいいとして
彼に協力する同僚の女子が周囲から怪しまれないのもどうなのか。

しかしここでも「法」より「正義」が優先。
カタルシスはあるとしてもアメリカの銃保持がなくならないわけがよくわかる。
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「経済」について

2016-01-08 03:03:38 | Weblog
くもり。少し冬らしくなる。

宇沢弘文「経済と人間の旅」を読む。

日経「私の履歴書」と同紙に載せたいくつかの文章からなる内容。
鳥取・米子に教育・医療を尊ぶ風土があるのは初めて知った。

一中・一高・東大での日々にふむふむ。
ゲーテ、ヴェブレンの影響が大きかった模様。

「キューバ危機」のアメリカでは周囲にFBIの姿なども。
資本主義の現実を嫌い相対的に社会主義を好んでいたためらしい。

「複雑な」ケインズを「過去のもの」とした経済学の潮流にも批判的で。
彼らの「前提」の誤りに関しては素人ながら大いにうなずく。

圧倒的なレベルの違いは別にして
学生時代に知り合いにレポートを頼まれ似たようなことを書いた記憶がある。

ある種の「モデル」が手段として有効なことはわかるものの
あまりに「現実離れ」した前提を元にしていてはどうしようもなく。

著者の学問的「凄さ」を理解できるほどの力はないとはいえ
好ましいタイプの先人であることだけはわかるつもり。

「東大を定年退職したら医者になろう」という「初志」の実行を
「社会的費用」を考えてという娘に諭され翻意するあたりが素敵。

もっともこのあたりの話は
著者が自らの著作のタイトルに絡めて微笑ましい話に仕立てたのかもしれないけれど。

それにしても。

あらためて「経済は誰のためのものか」というのは考えておいた方がよさそう。
事故が起きた場合の原発にかかるさまざまなコストも含めて。

それらを計算に入れない「経済」とは何なのか。
次々と走り去る自動車の横の狭い歩道を歩くしかない街並みとは何なのかについても。
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