退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「経済」について

2016-01-08 03:03:38 | Weblog
くもり。少し冬らしくなる。

宇沢弘文「経済と人間の旅」を読む。

日経「私の履歴書」と同紙に載せたいくつかの文章からなる内容。
鳥取・米子に教育・医療を尊ぶ風土があるのは初めて知った。

一中・一高・東大での日々にふむふむ。
ゲーテ、ヴェブレンの影響が大きかった模様。

「キューバ危機」のアメリカでは周囲にFBIの姿なども。
資本主義の現実を嫌い相対的に社会主義を好んでいたためらしい。

「複雑な」ケインズを「過去のもの」とした経済学の潮流にも批判的で。
彼らの「前提」の誤りに関しては素人ながら大いにうなずく。

圧倒的なレベルの違いは別にして
学生時代に知り合いにレポートを頼まれ似たようなことを書いた記憶がある。

ある種の「モデル」が手段として有効なことはわかるものの
あまりに「現実離れ」した前提を元にしていてはどうしようもなく。

著者の学問的「凄さ」を理解できるほどの力はないとはいえ
好ましいタイプの先人であることだけはわかるつもり。

「東大を定年退職したら医者になろう」という「初志」の実行を
「社会的費用」を考えてという娘に諭され翻意するあたりが素敵。

もっともこのあたりの話は
著者が自らの著作のタイトルに絡めて微笑ましい話に仕立てたのかもしれないけれど。

それにしても。

あらためて「経済は誰のためのものか」というのは考えておいた方がよさそう。
事故が起きた場合の原発にかかるさまざまなコストも含めて。

それらを計算に入れない「経済」とは何なのか。
次々と走り去る自動車の横の狭い歩道を歩くしかない街並みとは何なのかについても。
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