退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「シナリオの大切さと『法』より『正義』であること」について

2016-01-09 03:58:28 | Weblog
くもりのち晴れ。夜風が冷たい。

古山敏幸「黒澤明の作劇術」を読む。

「脚本」という視点から黒澤作品を振り返った内容。
彼のDNAを継ぐ監督たちについても。

助監督時代から優れたシナリオを書いていたのは承知していたものの
小国英雄、井出雅人、菊島隆三、橋本忍、植草圭之助、久板栄二郎らの力もあり。

そうした「共同執筆」がさらなる魅力を生み
黒澤自身の演出力も相俟って素晴らしい作品ができたのだというのにふむふむ。

もっとも「脚本という視点」からだから
撮影・音楽・録音・衣装・照明・大道具小道具などの力については別の話。

肯定的であろうと否定的であろうと
みんながあれこれ言いたくなる魅力を持つのが黒澤作品であることは間違いない。

ただ残念なことに若い世代で実際に黒澤作品に接する者が多いかというと微妙。
学校のイベントとして観るようにするのがいいかも。

一番いいのは各地に「名画座」が復活すること。
「映画図書館」のような形でもいい。

「いいもの」が誰にでも簡単に観られるようにするのは重要。
映画だけでなくあらゆるものについても同様。

おそらくそれが「やせた土壌」を豊かにするはず。
圧倒的なものに出会うと「背骨」が揺すぶられるから。

あらゆる「貧しさ」がわが国を覆っている現在
どこかに「豊かさ」を発信する場所がないと。

深夜「ザ・シューター 極大射程」(’06)を観る。

引退した優秀なスナイパーが大統領暗殺の阻止を頼まれ協力するものの
実はそれが陰謀で主人公は殺されかけてというお話。

マーク・ウォールバーグが精悍な男になって登場。
ダニー・グローヴァーが珍しく悪役で。

上院議員のネッド・ビーティがいかにもな感じで好ましい。
あれこれの爆破シーンに迫力あり。

死んだ友人の妻に協力を求めた時点で
彼女が敵に狙われるのは当然なのを見逃すあたりがややキズ。

一見役立たずな新米FBI職員が有能なのはいいとして
彼に協力する同僚の女子が周囲から怪しまれないのもどうなのか。

しかしここでも「法」より「正義」が優先。
カタルシスはあるとしてもアメリカの銃保持がなくならないわけがよくわかる。
コメント
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