股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ナイトクローラー

2015年09月05日 01時40分24秒 | 映画評論ナ行
製作年:2014年
製作国:アメリカ
日本公開:2015年8月22日
監督:ダン・ギルロイ
出演:ジェイク・ギレンホール,レネ・ルッソ,ビル・パクストン
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人脈も学歴もないために、仕事にありつけないルイス。たまたま事故現場に出くわした彼は、そこで衝撃的な映像を撮ってはマスコミに売るナイトクローラーと呼ばれるパパラッチの姿を目にする。ルイスもビデオカメラを手に入れ、警察無線を傍受しては、事件現場、事故現場に駆け付ける。その後、過激さを誇る彼の映像は、高値でテレビ局に買い取られるように。やがて局の要望はエスカレートし、それに応えようとルイスもとんでもない行動を取る。
第87回アカデミー賞脚本賞にノミネートされたサスペンス。事件や事故現場に急行して捉えた映像をテレビ局に売る報道パパラッチとなった男が、刺激的な映像を求めるあまりに常軌を逸していく。脚本家として『ボーン・レガシー』などを手掛けてきたダン・ギルロイが、本作で監督に初挑戦。『ブロークバック・マウンテン』などのジェイク・ギレンホールを筆頭に、『マイティ・ソー』シリーズなどのレネ・ルッソ、『2ガンズ』などのビル・パクストンらが出演。報道の自由のもとで揺らぐ倫理という重いテーマが、観る者の胸をざわつかせる。

アカデミー賞で脚本賞にもノミネートされた本作。上映館が少ないために新宿まで足を運びました。事件や事故現場に急行して手に入れた映像をテレビ局に売るパパラッチの仕事に就いた男。刺激的な映像を求めるあまり、徐々に彼の行動は常軌を逸していきます…。ジェイク・ギレンホールの狂気に満ちていく眼力に圧倒されっぱなしでした。この役はジェイク・ギレンホールしか演じきれないと思う。夜の暗闇の中で事件を追い続けるルイスの最低な行動や最低な考え方は決して共感できるわけないのですが、どうしても彼を追いかけたくなってしまう。いつのまにかルイスを追いかける観客の自分がパパラッチになってしまっていたように感じました。金のため、地位のためなら一線を越えて何でもする。この世は勝者と敗者に分けられて成り立っているのだと思いました。新たなダークヒーローの誕生です。

この作品の評価・・・・★★★★★★★★☆☆(満点は★10)
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メビウス

2015年09月01日 19時05分15秒 | 映画評論マ行
製作年:2013年
製作国:韓国
日本公開:2014年12月6日
監督:キム・ギドク
出演:チョ・ジェヒョン,ソ・ヨンジュ,イ・ウヌ
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父、母、息子が暮らすとある一家。ある日、夫が浮気していると確信した妻は、夫の性器を切断しようとするが失敗。ところが怒りを抑えられない彼女は息子の性器を切断し、姿を消してしまう。途方に暮れる息子に、父は性器がなくても絶頂に達することができる方法を教える。ところが妻が戻ったことで…。
『嘆きのピエタ』などの韓国の鬼才キム・ギドクがメガホンを取り、浮気者の夫、夫への怒りから息子の性器を切断した妻、性器を失った息子という壮絶な一家を描く過激作。とある上流階級の一家に起きた衝撃の出来事を、笑う、泣く、叫ぶといったせりふとはいえない感情表現のみで活写する。一家を演じるのは、『悪い男』などキム・ギドク監督の初期作品の常連だったチョ・ジェヒョンをはじめ、ソ・ヨンジュやイ・ウヌらが出演。過激な作品が並ぶキム・ギドク監督作品の中でもとりわけ強烈で、韓国内でも上映を制限するというショッキングな性描写にぼうぜんとなる。

キム・ギドクワールド全開の作品!本編に台詞が一切ありません。笑う・泣く・叫ぶといった感情表現のみ。夫の浮気に嫉妬した妻は、息子の性器を切断する。そこら辺のホラー映画よりも何倍も恐ろしい映画でした。台詞が一切無いのが、さらに人間の内に秘めた狂気を感じて恐怖が増していきます。性器を失った息子を悲観した父親は自傷行為によってオルガにズムに達することを息子に教えようとする。息子は学校でいじめられ、父親の浮気相手の女性に惹かれていく…。1つの家族の中にある“憎しみ”“欲望”“支配”。愛を手に入れようとすれば、愛を失う…。人間ほど欲深い生き物はいないのだと再認識させられる作品でした。そして言葉が無くても映画は十分素晴らしいものが出来上がるのだと再認識させられる作品でした。痛々しい描写も多いですが、なかなか見ごたえある作品でした。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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