股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

流浪の月

2022年05月18日 13時39分51秒 | 映画評論ヤラワ行

製作年:2021年
製作国:日本
日本公開:2022年5月13日
監督:李相日
出演:広瀬すず,松坂桃李,横浜流星,多部未華子,趣里,三浦貴大,白鳥玉季

映画『流浪の月』 公式サイト

本屋大賞受賞の傑作小説×監督:李相日が贈る、ある「愛」のかたち。 - 5月13日(金) 全国ロードショー

映画『流浪の月』 公式サイト

 


雨の公園で、10歳の少女・家内更紗がびしょ濡れになっているのを目にした19歳の大学生・佐伯文。更紗に傘を差し出した文は、引き取られている伯母の家に帰りたくないという彼女の気持ちを知り、自分の部屋に入れる。そのまま更紗は文のもとで2か月を過ごし、そのことで文は誘拐犯として逮捕されてしまう。被害女児、加害者というらく印を押された更紗と文は、15年後に思わぬ再会を果たす。
「2020年本屋大賞」で大賞を受賞した凪良ゆうの小説を原作にしたドラマ。10歳の少女を自分の部屋に入れたために誘拐罪で逮捕された男が、15年後に成長した彼女と再会する。メガホンを取るのは『ブルーハーツが聴こえる』などの李相日。『一度死んでみた』などの広瀬すず、『空白』などの松坂桃李らが出演する。

10歳の少女と19歳の大学生。誘拐犯として逮捕された大学生が15年後に再び彼女と再会したことで、運命の歯車が狂いだす。原作は未読です。非常に重い話でしたが、非常に考えさせられる重厚な物語でした。1つの誘拐事件によって、“加害者”と“被害者”に分けられた小学生の更紗と、大学生の文。2人は15年経ってもなお、事件によって、もがき苦しんでいた。2人とっては、かけがえのない時間であっても、傍から見たらそれは誘拐事件。事実は1つでも、真実は人の数だけある。私たちはメディアで知るニュースや、日々起きる出来事を表面的に断片的にしか見ていないのかもしれない。人は見たいようにしか見てくれない。自分たちの都合の良いように解釈をして答えを出し、正義と悪に分けたがる。更紗と文もまた、社会から“ロリコン野郎”と“かわいそうな子”に分けられてしまった。大人は身勝手だ。社会は理不尽だ。かわいそうとか、ハズレとか、そんな人間は1人もいないのに…。
居場所が無い2人が自然と寄り添い、互いの痛みを分かち合っていく展開は、観ていて悲しみや苦しみを感じながらも、何か見えない希望の光のようなものも感じました。2人なら生きていけるかもしれないと。どんなに生きづらくても、優しく手を差し伸べてくれる人が1人でもいるなら生きていけるのかもしれない。人間の優しさと卑怯さ、そして弱い部分を垣間見た気がしました。最後は彼らなりのハッピーエンドで良かったです。
広瀬すずと松坂桃李の演技は素晴らしかったです!心に闇を抱えた2人の目で訴える演技を観るだけでも価値はあります。横浜流星のDV演技もまた本当に怖かった。
同じ李相日監督の「怒り」のように、本作も人と人との繋がりや、人をどう見るか、人からどう見られるかをテーマにした良質な作品でした。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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