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気になる『宇宙兄弟』の音

2012-04-18 23:49:10 | その他の雑記
 今月から『宇宙兄弟』のアニメが始まりましたね。来月には実写映画も公開と絶好調です。宇宙がらみの漫画は少ないから、ぜひ両面でヒットして欲しいものです。
 ところでこの両映像作品、宇宙を扱っているゆえに、非常に気になっていることがあります。「あの『お約束』をやるか、それともリアルに徹するか。どっちの路線に行くか・・・?」そのお約束とは、そう、です。

 映画、TVドラマ、アニメ、特撮モノなどなど、宇宙が舞台のほぼすべての映像作品において、宇宙空間では聞こえるはずのない効果音を入れています。しかし言うまでもないことですが、音とは振動であり、振動はそれを媒介する物質(日常生活では空気)がなければ伝わりません。
 たとえばあなたが国際宇宙ステーション(ISS)の中にいたとして、窓から宇宙船が接近してくるのが遠くに見えます。そこへ突然、宇宙船に隕石がぶつかりました。しかし衝突音を聴き取ることは不可能です。破片でも飛んできてISSに当たれば話は別ですが。
 通信以外で宇宙でも音が聞こえるとしたら、宇宙船の駆動音が内部に聴こえるとか、船外活動の音が宇宙飛行士のヘルメットの中に響くとかいうケースに限られます。『機動戦士ガンダム』などのアニメ作品で、よくヘルメット同士をくっつけて会話してますね。ちゃんと聴こえるのかどうかは材質次第だと思いますが、あれで振動を伝えているわけです。
  しかし、映像作品では音がないと盛り上がらないし、間が持たないでしょうから、ほとんどの作品において効果音を入れています。これは仕方のないことで、やむを得ずつく嘘であり、お約束なわけです。

 私が観たことのある作品で、宇宙で音が聴こえないという事実をかなりリアルに描いていたのは、『2001年宇宙の旅』と『プラネテス』くらいでしょうか。『2001年─』は、場面によってはでクラシック音楽をガンガン鳴らして、この問題をしのいでいます(あと月面のモノリス登場の場面では耳鳴りのような音が響きますが、あれは宇宙飛行士たちの精神に直接流れ込んでいるのでしょう)。ちなみに続編の『2010年』は効果音入り。
 『プラネテス』の方は、本当に無音の描写が多い。最初の2、3話くらいまでは疑問符が付く表現も多かった覚えがあるのですが、中盤以降はほぼ徹底しています。宇宙で音が聴こえる描写があるのは、宇宙船やヘルメットの中に響く、登場人物に本当に聴こえるであろう音のみ。制作者のこだわりを感じます。私には、擬似の効果音を入れるよりも、リアルに無音の方がはるかにグッと来るんですが。。。

 音を入れるべきかどうかは、作品の持つリアリティレベルやアピールすべき対象の年齢・客層などで分かれるところですが、『宇宙兄弟』はちょうどボーダーライン上にいる感じがします。原作は案外アバウト(コミックは擬音の文字を入れないと動きが説明しづらいので仕方ない)ですが、果たしてアニメと映画の方はどうでしょうか?

 原作では、回想や説明のわずかなカットを除けば、日々人が月に行く7巻まで本格的な宇宙空間の描写はなく、劇場版はともかくTVアニメはだいぶ先になりますね。楽しみつつ見守りましょう。
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