軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

なぜ1日は24時間より短いのに「うるう~」はいらないのか?

2012-01-18 21:30:23 | その他の雑記
 このところ更新が滞っていてすみません。ごちゃごちゃやっていて、まとまった記事を書く時間がないもので、きょうは軽い天文の話題。地球の自転や公転の話でお茶を濁すことにします。
 今年はうるう年ですね。1年の長さが365.2422日なので、端数を消化するための調整日ですが、このほかに、今年は7月1日に「うるう秒」も入れられる予定なんだとか。これは地球の自転が少しずつ遅くなっているため、調整で挿入するのですが、社会生活のあらゆる領域でコンピュータが導入され、時計もデジタル化が進んで秒刻みで管理されているのに対し、うるう年と違ってうるう秒はやや不定期なので「2000年問題みたいなことが起こるからやめろ」という意見が多数を占め、先日始まったジュネーブの会議で取り上げられることになったそうです。
 これはエラい人たちに決めてもらうしかありませんが、人間が勝手に決めた年月の勘定の仕方と自然現象との間にズレが生じるのは仕方ないですよね。人間の都合には合わせてくれませんから、うるう秒は当面廃止にしたとしても、いずれは私たちの方が何らかのアジャストを強いられることになるのでしょう。

 これに絡んで、平均的な「1日」にもけっこう大きなズレがあるのはご存知でしょうか。というより、私たちにとっての1日というのは、地球が1回転する時間ではない。1日は24時間ですが、地球はこれより少し短い23時間56分4秒強で1回転しています。つまり、私たちが生活の基盤にしている1日の間に、地球の自転は1回転よりほんの少しだけオーバーランしちゃってるんですね。4分近くもズレているのに、「うるう日」とか「うるう分」とか入れなくても、どうして支障がないのか?
 これは、地球が太陽の周りを公転しているからなんですね。上述のように、地球の自転周期23時間56分4秒は、「恒星時」という尺度でみた1日、いわば絶対的な1回転の時間です。この1回転の間に、地球が太陽の周りを少し動く。この結果、地球がちょうど1回転しても、地上から見ると(東西の)元の位置に太陽が見えず、元の位置に来るにはもう少しかかる。この周期(南中の周期)を24で割ったのが「時」。なので、24時間は地球の自転周期に公転によるズレを足した時間に相当し、このズレに関してはウルウルしなくていいわけです。ちなみに、この23時間56分4秒が遅くなって末尾が5秒に近づくと、うるう秒を入れるわけですね。
 静止軌道エレベーターも地球の自転に同期しているので、活用の仕方に応じて、この南中の周期と恒星時を使い分けて計算しないと、色々トラブルのもとになるでしょうね。私は子供のころ、このズレの意味がわからなくて、「4分近くも差があったら、半年で昼夜が逆転しちゃうんじゃないの!?」などと首をかしげたものです。

 余談ながら、先日天文台の人と話したら、「夏が暑いのは地球が太陽に近づく時期だから」と思っている人が多いんだとか。だとしたら地球全土が夏にならなきゃいけません。このところ冷え込みが厳しいですが、実はちょうど今月が、地球が太陽に最も近づく時期です。太陽に最接近する位置=近日点は、例年1月3~5日ごろだそうです。小噺でした。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NASA「マジで度肝を抜かれた」 | トップ | お年賀懺悔 »
最新の画像もっと見る

その他の雑記」カテゴリの最新記事