親より先に死なない 親孝行

2017-03-31 19:57:40 | タナカ君的偏見
 集団就職が華やかだった昭和30年台の後半に僕は東京に出てきた。 そして安い給料での遊びとして始めたのが奥多摩あたりの山歩きだった。 そんな中で新宿厚生年金会館が主催した登山教室を受講し、 受講生で組織された山岳会にも所属するようになったのだ。

 その頃、 僕はある家庭に寄宿させてもらっていたのだが、 そこの奥さんが言ってくれた言葉が今も頭の中に残っている

 「タナカさん、 何も特別な親孝行はしなくても良いけれど」

 「親より先に死ぬのが一番の親不孝だからね」

 「山で死ぬ様な事は絶対に無いようにね!」



 つい先日(3月27日)那須岳の南東山麓にある「那須温泉ファミリースキー場」のゲレンデ上部の樹林帯付近で新雪雪崩が発生した。 そこで春山登山講習を受けていた栃木県内の高校山岳部の複数グループが雪崩に巻き込まれ、 大田原高校の山岳部グループ、教員1名と山岳部員7名の都合8名が生命を落とす痛ましい事故が起こった。

 その事故を話題にする報道がマスコミを賑わしているのだが、 「装備としてラジオビーコン、 ゾンデ棒、 スコップを装備していなかったのは雪山の訓練登山の装備面での手落ちだった」 そんな論調が見受けられる。

 当日は30cmもの新雪があり、 降雪が酷いので茶臼岳への登山は諦めて、 目的をラッセル訓練に切り替えて行動していたそうだ。

 そして遭遇した雪崩後の行動で、どうも良く判らない事がある。

 後方を進んでいた他校山岳部のグループも発生した雪崩に巻き込まれたらしいが生命を落とした人は居なかった。そんな彼等に対して抱く疑問


 「同じ春山登山講習を受けて居たはずの大田原高校グループの姿が見えなくなった事を認識して居たのだろうか?」

 「彼等を救助する行動を取ったのだろうか?」

 「 自分たちが雪崩から脱出するのが精一杯で他校の救助をする余力が無かったのだろうか? 」

 「雪崩に遭遇した地点は普段から携帯電話の電波が圏外の場所なのか?」

 「ひどい降雪だったから携帯電話の電波が通じなかったのか?」

 「一人の教員が利用した宿泊施設まで下山して雪崩事故発生の一報をいれた」 らしいが、 発生から1時間も経過していたと言う。 その間に何も具体的な救助を行わなわず、 雪に埋もれたままだったら「そりゃあ窒息して死ぬよな!」、 「ゾンデなんか無くったって、 立木の枝をへし折った物や、多分持っていたであろうピッケルをゾンデ代わりに雪面に突き刺す事だって出来ただろうに」、 「スコップが無かったら、両方の手でやれば、雪を少しは取り除く事だって出来たんじゃないか?」

そんな疑問を持ちつつも、 2次災害を引き起こさないために自分たちが救助活動を放棄したとしたなら、 「それも有りかも」との考えが頭の中には浮かぶと共に、 だったら「救助隊を呼ぶなよ、 救助隊だって死にたくは無い地元の人々なんだからさ・・・」と想ったり、 雪崩事故発生を伝える役目を担った先生は単独で下山した様だが、 激しい降雪が続く中なら、 「自分たちが登って来たトレールだって、 降雪が覆い隠して雪を掻き分けながらの下山となったことだろう」、 「安全とスピードを確保するためには、 2~3名の選抜メンバーでチームを組んで下って行くべきだったのじゃないのか?」 そんな事も考えてしまう。




 残念ながら事故を伝える報道には、 そんな僕の疑問に答えて呉れる内容の記事は無い。 そして今は警察の調査が訓練を計画し、主導した組織や人々に対する過失の有無の調査に向かい始めた事を伝えている。


 亡くなった生徒の親御さんのコメントには「今まで◯☓が居てくれて楽しかったよ・・・」 そんな誰を責めるでもない、 亡くなった子供への感謝の気持ちを表しただけの気丈な態度が見られたりするのだが、 本当は悔しいし、 悲しいし、 居た堪れない気持ちでしょうね。 お気の毒な事です。
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