温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

筋湯温泉 旅館かくおや その2 (2つの貸切内湯)

2014年10月03日 | 大分県
その1の続編です。


本館の内湯は、客室が並ぶ2階の廊下から階段を下りてすぐのところにありました。浴室は2室あり、通常でしたら男湯と女湯に分けるところを、こちらのお宿ではいずれも貸切にして、宿泊中は両方に入れるようにしているんですね。もちろん欲張りな私は両方入っちゃいましたよ。


●右側の浴室
 
ドアには特に「使用中」のような札は無いので、利用時には内側から鍵をかければ良いようです。まずは右側の浴室から入ってみました。ウッディーな脱衣室には棚と籠が用意されているばかりで、洗面台やドライヤーなどの備え付けはありません。後述する左側の浴室と比べると、全体的に一回り小さく、脱衣室もやや簡素なので、おそらく元々は女湯として設計されたものではないかと想像されます。


 
浴室内は壁・床・浴槽など随所に鉄平石が多用されており、壁は小端積み、床や槽内は敷石です。綺麗に維持されているものの、造りの古さは否めず、洗い場にはシャワー付き混合水栓が1基設置されているのですが、その手前にはなぜか使い込まれた洗面台が2台も並んでおり、昭和な空気感を強く滲ませていました。


 

扇型の浴槽はおおよそ4人サイズ。蛇口の左下に隠れた湯口より熱いお湯が投入されており、温度調整のため蛇口から冷水が注がれていました。そして浴槽を満たしたお湯は切り欠けよりしっかり溢れ出ていました。


●左側の浴室
 
続いて左側の浴室にも入ってみます。ドアを開けるといきなりステップがあり、それを下って脱衣室へ。こちらの脱衣室はパーテーションで2区画に分かれており、入口側には洗面台2台とドライヤーが、奥の浴室側には棚と籠が設けられています。明らかに右側浴室より大きく、洗面台完備という格差まであるわけですが、なぜ脱衣室を2区画に分けているのかを考察してみますと、洗面台が無い右側浴室の入浴者のため、もし左側浴室が使用中であっても、せめて洗面台だけは使えるようにという配慮の現れなのかと思われます(間違っていたらごめんなさい)。


 
浴室の基本的な造りは右側浴室と同様であり、使われている建材も同様なのですが、室内空間が一回り大きく、しかも浴槽の形状も異なっています。貸切利用ですので私はこのお風呂を独りで使わせていただいたのですが、一人で使うことを恐縮してしまうほど、立派で広いお風呂です。広いとはいえシャワーは1基しかないのですけど、繰り返しになりますが貸切利用ですから、複数設ける必要はないんですね。


 
剪定鋏の革袋と例えるべきか、形容の難しい形状をした浴槽は、5~6人は余裕で同時入浴できそうな大きさがあり、無色透明のお湯が張られてるのですが、底に敷かれている石の色合いのため、赤みを帯びているように見えます。浴槽縁には御影石が用いられてるのですが、長年に及んで温泉成分が付着したためか、うっすらと白いもので覆われていました。


 
こちらの浴槽でも温度調整のために加水されており、その右脇で隠れるように口を開けている湯口より熱いお湯が供給されていました。無論惜しげも無く切り欠けから溢れ出ています。

筋湯の温泉を大まかに分類すれば、源泉でお湯の形で湧出している一般的な温泉と、沢水に地熱の蒸気を当てて造った造成泉の2種類があって、施設によって使い分けられているのですが、この内湯(および別館の「蔵ん湯」)では造成泉が引かれています。無色透明でほぼ無味無臭、とても滑らかで癖がなく、肌の弱い方でも安心して入れる優しいお湯です。私のように温泉をハシゴする者は、その日のうちに個性的なお湯に浸かり続けているので、このようなアッサリしたお湯で一日を締めくくると、その晩はゆっくり熟睡できるんですよね。造成泉については好みや賛否が分かれるようですが、私は結構好きなんですよ。


筋湯分湯組合
単純温泉 94.3℃ pH7.6 湧出量測定せず 溶存物質0.117g/kg 成分総計0.128g/kg
Na+:27.7mg(87.13mval%), Ca++:2.2mg(7.96mval%),
S2O3--:0.2mg, HCO3-:20mg(27.08mval%), SO4--:39.3mg(67.59mval%),
H2SiO3:22mg,


その3へ続く
コメント
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