温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

日山温泉 ひやま山荘お湯センター

2014年10月19日 | 山形県
 
某日のこと。最上地方の赤湯温泉で日帰り入浴しようと考えていたのですが、昼間という時間帯もあってか、どの旅館を訪っても断られてしまったので、温泉街からちょっと離れた日山温泉の「ひやま山荘お湯センター」へ向かうことにしました。「お湯センター」というストレートなネーミングからはB級感を予感させますが、実際のところはどうなんでしょうか。以前拙ブログでも取り上げたことのある「旅館三之丞」の先を左折し、「あれ? ここって廃道?」と不安を抱かせるほど舗装が荒れてボッコボコになっている坂道を上がりきると視界が開けて、駐車場の周りに旅館や今回利用した日帰り入浴施設など、日山温泉の関連施設が建ち並んでいました。そして西側にはドライビングレンジが広がっていました。


 
日帰り入浴施設の脇にはアツアツのお湯が落とされている湯溜まりがあります。その傍らでは、小屋の中でワンコがお昼寝中。


 
赤い和傘が斜めに立てられて、ちょっとした和風な趣きを醸し出している帳場では、老夫婦が店番をしていらっしゃり、鳴子温泉郷の湯めぐりシールで入浴をお願いしますと、スムーズに対応してくださいました。帳場があるフロアから階段を下りてゆくと…


 
大座敷の脇を通過します。舞台にはカラオケ機器が設置されており、けだしここではご老人のグループがワイワイと騒いで楽しんでいるものと想像されますが、このお座敷の利用には別途料金が必要らしく、入浴のみのお客さんは利用できないんだとか。


 
大座敷から更に階段を下りてゆくと、マッサージ機器が用意されている小部屋の横を通り過ぎ…


 
ようやく浴室にたどり着きました。脱衣室には棚や洗面台の他、無料のロッカーが設置されており、幾分古いものの手入れは行き届いていて、気持ちよく使えました。


 
天井は高くて開放的な内湯は、造りこそ古いのですが、昭和のアトリエを連想させるような直線的なデザインが随所に採用されており、窓ガラスから陽光がたっぷり降り注ぎ、湯気篭もりもなくて明るく快適です。湯船は大きなポケットみたいに、手前側に対して曲線を描いており、槽内には水色の小さなタルが敷き詰められています。そして室内には湯面から漂う石膏臭が充満していました。


 
壁に昭和40年代的なアートが施されている洗い場には、シャワー付き混合水栓が2基並んでいます。ウネウネとした線は何を表現しているのでしょうか? 円の下にちょこんと足みたいなものが伸びているデザインは、芸術の才能がまるで無い私には、キノコか卓球のラケットにしか見えなかったのですが、あれは一体何なのでしょう…。なお、カランから吐出されるお湯はアツアツの源泉です。


 

浴室の片隅には大きな岩がそそり立ち、岩と壁の間からちょこんと突き出ている塩ビ管から60℃近くもある熱いお湯が吐出されていました。そして湯口直下の岩肌にはまるで雪のような純白の析出がたくさん付着していました。なお館内表示によれば、お湯は加水せず温度調整しているとのことで、確かに湯船はちょっと熱めの湯加減だったのですが、お湯の鮮度感は良く、シャキッとした浴感が楽しめました。湯船のお湯は縁からしっかりと溢れ出ています。
お湯は無色透明で、甘味を伴う石膏味が明瞭に感じ取れ、ワンテンポ遅れて芒硝感も伝わってきます。湯面にてキラキラと青白い光が輝いており、湯中ではトロミがあり、ツルスベと引っかかり浴感が混在していました。湯量が多くて鮮度感が良く、無色透明の硫酸塩泉が好きな方にはたまらない、実に素晴らしいお湯です。


 
屋外には露天風呂が2つ、そして後述する温泉プールが1面設けられています。2つの露天風呂は、形こそ異なるものの、いずれも石張りの3~4人サイズで、底面の穴からお湯が投入され、しっかりとオーバーフローしています。なお私の訪問時、内風呂に面した浴槽(左(上)画像)はぬるめでしたが、プールに接している浴槽(右(下)画像)は一般的な湯加減(42℃前後)でした。


 
日山温泉の目玉はこの大きな露天温泉プールでしょう。長さは10メートル強といったところで、ガッツリ泳ぐわけにはいきませんが、プールに張られているのは100%温泉であり、緑豊かな環境の下、掛け流しの温泉で泳げるプールは貴重ですから、こちらを訪れたら是非利用したい施設です。


 
プールの温泉はバルブ付きのホースから投入されており、その投入口ではなんと63.3℃もありました。かなりの高温ですが、表面積が大きいためか、自然冷却によってプールでは41.5℃という適温まで下がっています。尤も、入浴するにはいい湯加減ですけど、この温度で水泳するとすぐに体力が奪われて疲れちゃうかもしれませんけどね…。



脱衣室の張り紙には「泳げる露天風呂には水着を着けずに入って下さい」と書かれています。つまり、温泉プールは裸で入るんですね。ということで…


 
ヒャッハー!! 全裸で泳げる機会なんて滅多に無いから、最高に気持ち良いぜ! 20年ほど昔の話ですが、渋谷道玄坂のラブホテルにプール付きの部屋があって、そこで思いっきり全裸水泳をしたことがあるのですが、私が裸で泳いだのはそれ以来かもしれません。あ、その数年後にドイツ・ヴィースバーデンの温泉でも全裸水泳をしたか…。ま、そんなことはさておき、私以外にお客さんがいなかったので、ブレストやクロール、調子にのってバタフライまで、翌日苦しめられる筋肉痛のことなんて気にしないで、一糸纏わぬ姿でガンガン泳いでしまいました。ゆっくり寛いで過ごすのが一般的な温泉の楽しみ方ですが、ここでは思いっきりアクティブに温泉を満喫することもでき、久しぶりに温泉で体を動かす楽しさを堪能させていただきました。


ひやま山荘2号源泉
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 66.7℃ pH8.4 蒸発残留物1154mg/kg
Na+:168.8mg, Ca++:154.8mg,
Cl-:46.0mg, SO4--:668.7mg, HCO3-:29.7mg, 
H2SiO3:46.7mg,
(昭和63年12月22日)

山形県最上郡最上町富沢834-5  地図
0233-45-2816
ホームページ

9:30~17:00 木・金定休(祝日は営業)
500円もしくは鳴子温泉郷共通の湯めぐりシール2枚
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
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