温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

筋湯温泉 旅館かくおや その1(お部屋・食事・家族風呂「蔵ん湯」)

2014年10月02日 | 大分県
筋湯温泉で一晩お世話になったのは、温泉街の中心部にある「旅館かくおや」さんです。共同浴場「うたせ湯」が目の前にあり、「岩ん湯」も並びに位置していて、湯めぐりにはとっても便利なお宿なのですが、もちろん魅力的なのはそれだけでなく、お食事・お風呂なども非常に素敵です。特に宿泊予約の決めてになったのは、離れの露天風呂です。お宿の魅力を一遍にお伝えしようとすると、記事のボリュームが増えてしまいますので、今回は3回に分けて取り上げてまいります。


●外観・客室など
 
「うたせ湯」の斜め前にあるひっそりとした渋い佇まいのお宿。はじめは、あまりに控えめな存在に気付かず、お宿の目の前を何度か通りすぎてしまいました。細い路地を挟んで本館と別館に分かれており、右手の本館にある玄関からお邪魔します。


 
昔話の絵本の世界に紛れ込んでしまったかのような錯覚をおぼえる民芸調の帳場周り。濃淡のコントラストをはっきりさせつつ、明るさを若干落として、シックで落ち着いた雰囲気を演出しています。チェックイン時は、可愛らしい装飾を目にしつつ、囲炉裏に座ってお茶をいただきながら宿帳を記入しました。



客室は古いながらもよく手入れされており、とても清潔です。卓上にはかわいらしい菊の花が活けてありました。今回のお部屋にはエアコン・テレビ・ポット・金庫などひと通りの備品は備わっていますが、洗面台やトイレはついていなかったので、水回りは全て共用のものを使いました。


●お食事

お食事は別室に移っていただきます。上の画像は夕食の様子。決してお高くない、寧ろリーズナブルな料金プランでお願いしたのですが、にもかかわらず、これだけの品が卓上に並べられました。ひゃーっ、すごい!


 

具体的に一品ずつ見ていきますと、牛の鉄板焼・煮物(筑前煮?)・ニジマスの塩焼き・ウナギの白焼き・馬刺し・わらびのおひたし・季節の山野草の天ぷら・水菜のサラダ(刺し身コンニャク添え)、そしてデザートはお餅入りの汁粉。いずれも地の物を活かした季節感溢れる料理で、味のみならず見た目や香りも満喫でき、特に天ぷらなどは揚げたてを持ってきてくださいますので、アツアツサクサクの食感を楽しめました。


 
こちらは朝食。明太子やかまぼこが添えられた焼き魚の他は、青菜のおひたしや切り干し大根の小鉢など、目覚めの胃にやさしい典型的な和の献立。陶板の上では自分でタマゴを落として目玉焼きをつくります。黄身が濃厚で実においしく、食が進んで朝からお櫃を空にしてしまいました。


●家族風呂「蔵ん湯」
 
こちらのお宿に宿泊すると、別館の家族風呂「蔵ん湯」、本館の貸切内湯2室、そして離れの露天風呂(3つ)の全てを利用できます。その全てが貸切利用ですので、利用可能時間内で空いていれば自由に入れますし、貸切ですから他のお客さんを気にせず、ゆっくりと寛げます。記事構成の関係で、まずは家族風呂「蔵ん湯」から見てゆきましょう。
本館2階から伸びる渡り廊下で路地を跨いで別館へ移り、別館の階段を下りていきます。


 
階段を下りると、ちょうど別館の玄関に出るのですが、階段のすぐ右側、つまり別館玄関の右前方に、納屋の要り地を彷彿とさせるような木の庇が立てられており、その下で木の引き戸が裸電球に照らされています。ここが家族風呂「蔵ん湯」なんですね。


 
家族風呂って多くの場合、大浴場の従属的施設として、必要最低限の簡素な内容と備品に留まっている傾向にありますが、こちらのお宿は全てが貸切だからか、各浴室とも手抜かりなく、ひと通りのものがきちんと備わっているんです。たとえばこの「蔵ん湯」も、距離が離れている上に利用時間に制限があるため、次回記事(その2)で取り上げる本館の内湯と比べて利用される頻度が少ないかと思われるのですが、それでも民芸調の脱衣室は綺麗に手入れされており、洗面台にドライヤーが用意されている他、帳場と連絡するための内線電話も備え付けられていました。


 
「蔵ん湯」と称するだけあって、浴室の内装はなるほど蔵っぽい感じですね。床や浴槽には切り出した石材を多用しており、白い壁は漆喰をイメージしているのでしょう。柱や窓枠など直線的な部位は焦げ茶色に塗られており、白壁とのコントラストが綺麗です。空間としてはこぢんまりしており、室内のキャパは2人といったところでしょうか。洗い場にはシャワー付き混合水栓がひとつ設置されており、シャンプー類も備え付けられています。



浴槽は武骨な切り出し石材を組んで作られており、1~2人サイズで、竹の筧からお湯が注がれています。掲示されている分析表によれば、こちらのお風呂に引かれているお湯は本館の内湯と同じ源泉「筋湯分湯組合」でして、いわゆる造成泉(沢水に蒸気を当てて造った温泉)です。造成泉というと、それだけで敬遠してしまう方もいらっしゃるようですが、温泉法上は立派な温泉に該当しますし、この手のお湯は非常にマイルドで癖がなく、あっさりサッパリと湯浴みできるのが嬉しいところです。なおお湯に関する細かなインプレッションは「その2」で述べます。
密閉された狭い空間ですが、換気扇がしっかり回っているおかげで、湯気の篭もりが全くなく、快適に湯浴みできました(換気扇の回転音がちょっと気になりましたけど…)。

その2へ続く
コメント
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