温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯坪温泉 河原湯温泉

2014年10月05日 | 大分県
 
九重九湯のひとつである湯坪温泉。当地の大岳地獄では以前から温泉が湧出していたんだそうですが、昭和42年に日本初の地熱発電所である大岳発電所が操業を開始すると、そこで得られた蒸気が界隈の住民へ分配されるようになり、やがて農家が温泉民宿をはじめたことをきっかけに、長閑な田園風景の中で民宿の開業が相次ぎ、今では約20軒もの民宿が集落内に点在して「湯坪民宿村」と呼ばれるに至っています。


 
湯坪には立ち寄り入浴できる施設が何軒か営業していますが、その中でも最も奥の筋湯温泉寄りに位置しているのが共同浴場「河原湯温泉」です。冒頭で民宿云々と申し上げておきながら、民宿ではない施設でごめんなさい。こちらは地域の集会所の1階が浴場となっているのですが、自己主張の無い渋くて地味な佇まいですから、看板を見逃してしまうとその存在に気づかないかもしれません。道路の向かいの廃屋には、「河原湯」バス停のホーロー看板が直接貼り付けられていました。
敷地内に駐車場は無いのですが、お隣の私有地が有料(※)の駐車場になっていますので、そちらに車を駐めて浴場へと向かいました。
 (※)料金200円。無人なので所定の料金箱へお金を投入します。


 
駐車場の反対側に回ってみますと、建物の裏手には、屋根よりやや高い煙突が立っており、その上からはもくもくと白い湯気が立ち上っていました。温泉に用いられる地熱の湯気抜きなのでしょうね。


 

石仏が祀られている入口から脱衣室へとお邪魔します。お風呂は男女別に分かれており、男湯は右側です。こちらの共同浴場は常時無人ですから、湯銭は入室前に自分できちんと仏様の右に置かれている料金箱へ納めましょう。脱衣室はとても狭く、棚とプラ籠が6つずつ用意されているばかりで、2人以上で同時に利用したら窮屈さを覚えるかもしれません。


 

モルタルの白壁に鉄平石が敷かれた浴室には、熱気と湯気が朦々と立ち込めていました。室内には余計な設備が無く、台形の浴槽がひとつと、加水用ホースが接続された水道蛇口、そして模造青竹のかき混ぜ棒が一本用意されているにすぎません。湯船以外は、お湯を冷ますグッズしか無いわけですが、このお風呂に於いて、これらはかなり重要な役割を果たすんですね。


 

この浴場を訪問するに際しては、事前にネットでお風呂の様子を調べておいたのですが、多くの方がこのお風呂を「とても熱い」とレポートなさっているように、どうやら常時湯船が熱いらしいのです。お湯は左奥の湯口からチョロチョロと注がれているのですが、80℃近い源泉がそのまま投入されているのか、湯船に温ガラス製度計(※)を突っ込んでみますと、赤いアルコールは50℃の目盛りを上回ってしまいました。なるほど、これは確かに熱いぞ。しかもこのままじゃ絶対に入浴できません。それゆえ、加水用のホースやかき混ぜ棒などが欠かせないという訳です。

お湯は無色透明ですが、ボンヤリと白く靄がかかっているような感じに弱く濁っており、ほぼ無味無臭ながら、わずかに軟式テニスボールのような、ゴムっぽいイオウ感が得られました。とてもあっさりしており、癖が無くアッサリとしているのですが、今回は加水を必要最低限に留めたためか、湯上がりはしっかりと火照り、軽く逆上せてしまいました。なお分析表によれば、湧出地と浴場所在地が全く同一なので、建物の裏手に立っていた湯気抜きの場所に源泉があるのでしょう。
山間部の共同浴場らしい、素朴で飾らない、鄙びたお風呂でした。
(※)普段私はデジタル表示の温度計を使用していますが、計測部の先端が尖っており、飛行機の機内へ持ち込むことができません。その時の九州湯めぐりに際しては、東京から飛行機で、荷物を預けることなく搭乗したかったので、空港の手荷物検査で引っかからないよう、アルコール温度計を使用しました。


河原湯
単純温泉 86.3℃ pH7.5 溶存物質0.186g/kg 成分総計0.212g/kg
Na+:14.5mg(52.34mval%), NH4+:2.3mg(10.58mval%), Ca++:5.8mg(24.02mval%),
SO4--:11.0mg(16.47mval%), HCO3-:67.1mg(79.07mval%),
H2SiO3:77.3mg, CO2:26.0mg,

久大本線・豊後森駅および豊後中村駅より日田バスの牧の戸峠もしくは九重登山口行で「河原湯」バス停下車すぐ(大将軍経由のバスは「河原湯」を通らないので注意)
大分県玖珠郡九重町大字湯坪字樋ノ口894  地図

利用可能時間不明
200円
備品類なし

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする