脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

生きる力の源

2011-04-06 | Weblog
私はよく本屋に行くのだが、日本の本屋で目立つのは、あんちょこ(安直)的な本である。
アンチョコ的な本とはいわゆる何々がよくわかる本と言うように、ある物事を詳しく説明した本であるが、以前洋書特に英書で読める情報は日本語の1000倍以上あると言うようなことを書いたが、しかしことアンチョコに関しては日本のお家芸とも言えるぐらい数が多くて幅が広く出ている。
10何年前ぐらいに北欧で「ソフィーの世界」という哲学のアンチョコ的な本が出されて大ヒットしたが、しかし日本のアンチョコ本はその小説よりもさらにわかりやすく、理解できるように書いているのだが、特にある大学の学長が出した入門書などは非常に分かりやすく、おそらくこういう要領をつかんで分かりやすく説明する作業は日本人は世界一であると思っている。
余談であるが「TOFUL」のアンチョコは韓国がもっともすぐれている。問題の対策と傾向は十分研究されていて、笑ったのは、ある問題集に、迷ったら(2)だったか(3)だったかを選べというということが書かれてあって、理由は圧倒的にこの番号が正解率が多いからだそうだ。やはりお隣の国も教育制度が日本と似ていることをうかがい知ることができる。
しかしその反面、安易にアンチョコ本を出すことに対して問題を感じている。確かに経済や裁判などのしくみについてはアンチョコなどを頼りにして理解することもいいのだろうが、しかし哲学的な本はどうしてもある解釈が入ってしまうので、理解の仕方そのものがステレオタイプ的になってしまう懸念がある。
外国ではあまりアンチョコ本をあまり出さないいうか興味がないのはのは、その書物に対して自分なりの理解と言うものを尊重しているからであり、哲学にしてもヴィトゲンシュタインやハイデガーなどの難しく複雑な本なんて簡単に説明できるはずはないし、自分で読んでまず理解しようとしなければ無意味である。しかしこれをいとも簡単にアンチョコで読みこなしてしまうと、考える力を養うことができないのではないかと思う。
おそらく日本人の優等生と欧米の優等生の違いはここにあるのではないかと考えている。前回のブログで留学生が難しい本をたくさん読んでいたと言うことを書いたが、彼ら彼女らは本国でもそういう難しい本を読んでいるらしいのだが、ドストエフスキーやカミュ、ヘミングウエイなどの基本的な文学を若いうちから読むと言うことは非常に意味のあることである。
しかし日本の彼女と同じ世代の学生は、ある事柄を知識として詰め込みすぎるきらいがある様に思える。
たぶんやらなくてはならないことが多いので、本をじっくり読んでそこで立ち止まって考えている余裕などないのだろう。しかしそれに対して欧米では、文学を楽しむ余裕と本人の解釈と言うものを尊重しているように思えるのだが、おそらくこの違いが日本人は自分の意見を持たない、主義主張ができないということにつながるのだろう。
今日本人には考える力が必要であると実感している。考える力と言っても運動の練習などで「考えろ!」と言われて考えるような単なるこつのような単純なものではなく、もっともっと物事を深く知り、理解しようとする力で、そういう力を書物によって養われることが必要だ。
今年に入って私の身の回りでいろいろなことが起こった。
東北関東大震災もそうだが、失業した人や肉親を亡くした子供、本当に「人間はなぜ生きるか」そしてどう「生きるのか」と言うことを問わされずにはいられない。
しかしこれらのことに対して本当に解決を与えてくれるのは、人間の知恵や知識であると信じている。
時に文学や哲学と言うのは、そういう人間の悩みや苦しみに対してわれわれがどう生きるべきかと言うことを示した書物であり、そういう書物を通して与えられる知恵と言うのは、本当の我々の生きていく上での力になるが、むしろスポーツの指導者が教えていかなくてはならないのはこういうことである。
時々スポーツをやっていればいいというような指導の仕方や軍隊のように礼儀と称して、ステレオタイプの人間をつくっていくのがいるが、しかし大切なのは深く考えると言うことで、そういう部分をスポーツを通して刺激することも必要ではないだろうか。
ちなみに私の知り合いのコーチはよく古典を引用する。勝負事において、カエサルなどの言葉はそうであるが、マルクスアウレリアスの自省論など、その他の文学などを引用し、そのことによってボクシングやスポーツも社会の実生活と同じようなものだということを気づかされるのであるが、こういう積み重ねが実際に実生活で生きた言葉になり、何事にも負けない強い心というものを生み出すのではないだろうか。
コミニケーションにおいて、大事なのは命令や伝達ではない。インテリジェンスを共有し合うことである。
このことを共有し合うことができるコミュニティーを目指したいと思っている。















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