脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

Man errs so long as he strives

2018-12-19 | Weblog

12月22日は私にとって思い出深い日だ。もうかなり昔のことであるが、ハワイアントーナメントの決勝戦で負けた日で、その試合が私にとっての最後の試合になったからである。
その当時のHIはボクシングのやや強豪州で、わりとボクシングは盛んであった。試合なんかも1ヶ月に1回ぐらいは開かれていて、年にはゴールデングラブを含む、3回のトーナメントが開催されていたが、私はその州だけの小さな話であるが、そこその実績を上げていたので、まあまあの自信があって、この大会では絶対に優勝してやるという野心があった。

話は映画の話になるが、今日ゴッドファーザー3と言う映画を見ていた、この映画は有名な映画なのでストーリーは説明しないが、登場人物でビンセントと言うボスの甥がいる、彼は優秀で度胸があるのだが、しかし行動的というか、思いついたことをすぐに行動するので、よくボスであるおじにおこられる。その時決まってボスであるマイケルが「YOU UNDERSTAND!」ときつく言うのだが、このセリフには聞き覚えがある。「YOU UNDERSTAND!」当時私があまりにも勝手なことをするので、よくジョージに言われた言葉である。それはそのおじであるマイケルが、組織を無視して勝手な行動をとった時に戒めるように言うのだが、まさにその言い方が同じ、笑ってしまった。今考えれば当時は、結構大胆で勝手なことをしていたと思う。しかしこういう人間をうまくコントロールしてくれて、大した才能もない人間を小さな島のマイナースポーツという枠であるが、ここまで実力を引き出してくれたのは、まさにコーチと監督のおかげ、日本だったら私のような性格は相手にされないし、知性や学力よりも素直さだけを求める日本のスポーツ界は私には合わない、しかし向こうのスポーツ界は人権や個性を大事にする世界だったからうまくいったのだと思う。だからそう言うことがわかっていたので、せめてこの試合だけは優勝して感謝の気持ちを表したいという気持ちがあった。勝ってその感謝を表したかったのだ。
しかし結果はあっさりと判定負け。1ラウンドでボコボコにして、勝ったら飛びついていってハグするというシュミレーションもできていたが、しかし現実はそうあまくはない、3ラウンドがおわって、勝者をコールした時、相手のレッドコーナーと言う声を聞いた時は、本当にみじめであった。負けを認めるということは非常に勇気のいることである、この後、その負けた相手のところにわざわざ行って、ありがとうと握手を求めるのにはかなりの勇気がいったが、負けた自分を認めるのであるから、おそらく手が震えていた、おそらくこれが人生最大の勇気だったと思う。しかし今考えればそれでよかったと思う、その時負けを認めてリセットできたからこそ、今の自分がある、偉そうに言うが、人間は勝ち続けることよりも負けを認める方が大きく成長する。ゲーテは「Man errs so long as he strives(人間は失敗をする限りは栄える)」と言ったが、この失敗があるからこそ見えてくるものも大きいのだ。勝つことばかりでは人間は成長しない、負け惜しみではないが負けたことがない生き方なんてくだらない、人間は負けるから、失敗するから、成長するのだ。しかし人間が本当に失敗や負けを認めることは難しいことだ、なぜなら本当の敗北とか失敗というのはみじめなものだからだ、しかしそれでも一歩進んで握手を求めるように、勇気を出して自分を受け入れる時、新しいものが見える。人間は見栄や意地だけでは生きていくことはできない。真実というのは時には厳しいもので、その厳しいものの先にこそ人智をこえた生き方があるのかも知れない。


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