筑紫哲也が亡くなった。タバコを止めなかったためであろう。彼を知ったのは、朝日ジャーナルを通じてである。都会的で明るく明快な論理を見せてもらったものである。この頃は、時代を創り続けていた感がる。
朝日テレビのキャスターのトップの日、4月1日であるが「ネシー発見」の報道をやった。エイプリルフールのつもりだったようだが、ひんしゅくをかった。3年ほどで辞めてしまった。
毎日系の「ニュース23」ではこれまで培ってきた、人脈を縦横に発揮して政治や財界に限らず、芸能部門からの切り口も少なくなかった。単一の視点からではなく、いわば複眼的にさらには歴史的なところも失うことなく、一味違った切り口をみせてくれた。
新聞記者時代から、沖縄にはこだわり続けていた。政治だけでなく、多くの地元の人たちの声や文化を丁寧に拾っていた。西山記者の密約にはこだわり続けてくれていた。時代が忘 れようとしていたことである。
筑紫哲也は丸谷真男の数少ない市民受講者の一人であった。しかしながら、彼のお人好しか八方美人のためか、強く彼らしい論理を展開する場面が次第に少なくなってきたことに不安を抱いていた。とりわけ、小泉改革以降はぶれていることを自身も感じていたのであろう。
何度か、かつての論理との齟齬を、ホームページに送ったことがある。返答はあるわけではなかったが、メールは残さず目を通しているとの言葉に期待は持っている。そのためでではあるまいが、彼の生前最後になったサイン入りの本が手元にある。
キャスターを引き受けた時に流行っていたのが、井上陽水の「傘がない」である。これは政治や社会問題よりも、彼女に会いに行くのに傘がないことの方が問題だという歌である。彼はこの歌をニューヨークで聞いて、日本の変化を感じ引き受けたと述懐している。
通常の番組では取り上げることにない、埋もれた歌手や芸術家を金曜日の夜に紹介してくれた。新井栄一もその一人である。社会の底辺からの声である。
政治や経済の広がり、さらには強大な力を持て来ることに不安を持っていたと思われる。芸能や芸術に関心が高かったのは、そうしたことからの逆の視点ではないかと思われる。
彼のように博識で読書好きで芸能を愛するキャスター、ジャーナリストは今後出てこないのではないか。筑紫哲也の冥福を祈りたい。
日本医師会が「タバコ増税賛成ネット署名」を募っています。
私が長々と説明するまでもなく、この活動の必要性・重要性は、賢明
な皆さんには良くご理解いただけると思います。
日本医師会のホームページのトップから、署名フォームに入れます。
送信まで2分もかからず、非常に簡単にネット署名が出来ますので、
趣旨をご理解の上、ぜひ多くの方々にご協力をいただければ幸いです。
http://www.med.or.jp/
日本医師会も、最近、日本の公衆衛生上で最重要・緊急課題のひとつ、
タバコ問題に積極的・本格的に取り組む姿勢を強めてきた事は、何より
心強いです。