日本航空・JAL今年度末で2000億円もの赤字決算になりそうである。官営の会社として、前 身の日本航空は設立された。以後、運輸省などから役員に大勢の官僚が、定期的に天下っている。
そのため、自らの選挙区にどんどん空港を作らせた政治家のメンツは、100もの空港をこの狭い日本に作ってきた。空港を作る以上は、飛行機が来なくてはならない。JALは、お役人と政治家に背いて存在できる会社ではなかった。
地方空港設立への利用客数は、ひどいところでは予測の10分の1にも満たない現状である。先日も、JALを利用して地方空港に降り立ったが、80人ほどの定員に見えた機内であるが、10数人しかいなかった。帰りも同様であった。新幹線が開通してから一層顧客離れが進んでいるとの、地元民の話である。
JALの企業内年金も問題視されている。42年勤務した定年退職者は、国民年金と合わせると、年間583万円だそうである。懸命に職を見つけて働く現役世代の、1000万人が200万円以下の時代に、何もしない定年退職者がその3倍もの収入がある。いつ失業するかわからない労働法から見放されている、非正規雇用者の半数が200万以下の収入である。JALの金利補てんも大きな負担になっているが、奇妙な構図である。
アメリカの3大自動車会社が国に援助に伺うのに、自家用飛行機でお願いに駆け付けたが、どこか符合する構図である。自らの溜めた基金であると退職者は主張するが、現在も杜撰な経営体質の象徴的存在であることには変わりはない。
JALの経営体質は、つまるところ政府の決定事項の受け皿として機能していた点と天下りの役員を抱える意味で、独立行政法人などと何ら変わらない存在である。新幹線と高速道路と空港それに港湾などを、有力政治家の力任せで無計画に取り組んだことが、一層問題解決を困難にしている。土木振興寺領のツケを、今払わされているのである。