21日に藤崎一郎駐米大使が急遽、クリントン長官に呼び出されたと、アメリカでぶら下がりの 会見を行った。藤崎は、一国の大使が呼びつけられるというのは、極めて異常な事態で普天間基地の移転は、合意の通りにしてくれと言われた。COP15で鳩山首相に理解など示さなかったと発言した。
日本の報道は色めきたった。本当にアメリカは怒っているのだ。早くなんとかしなければ、何をやられるかわからない。普天間の移転を早く辺野古に決めてご機嫌をうかがいなさい、日米軍事同盟の根幹が揺らぐというような論調で、日本の報道は満ち溢れた。
ところが、翌々日になってクローリー事務次官補が急遽記者会見して、「藤崎大使は自分からやってきた。呼び出してはいない。普天間基地の移転には合意が望ましいが、日本政府の決定を待っている」と、藤崎大使の発言を全面否定した。大使はウソを言ったのである。
こんなことってあるのだろうか?この藤崎大使は、過去にもいろいろ立場を超えた発言や事件を起こしている。今年9月には、政権交代したばかりの政府に「インド洋上の給油活動の必要性を訴え、継続しなければならない」と、強く主張した。オーストラリア大使館会計課長時代には、経理の不正が生じたときには本国の意向を無視して、これをもみ消した。
今回の、虚偽の呼び出しが事実であるなら、真っ先に本国政府に報告するべきである。この男は自ら、ぶら下がりの記者会見を行ったのである。極めて重要な国家間の意思表明を、真っ先にマスコミに情報を垂れ流したのである。このこと自体仮に事実であっても、けん責の対象になると思われる。
更に内容が虚偽であったことは、もっと重要なことである。呼び出しがあったとすることと、基地の移転についてのアメリカの意向を歪めたことである。普天間移転問題は、極めて重要な時期にある。沖縄県民の意向と、アメリカとの自民党時代の合意と公約と軍事的抑止力との問題など極めて複雑に入り組んだ、デリケートな時期にある。
せっかく政権交代をしたのである。海外に残る自民党時代の官僚を入れ替えなければならない。ウソ会見をした自民党支持者のアメリカ大使を、即刻罷免するべきである。