そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

非難する国家に倣い、単一思想の国家にせよというのか

2020-10-23 | 戦争

今日このような意見広告(加入申し込み欄は削除してある)が、産経・読売・日経各新聞に出されたようである。櫻井よし子が理事長を務める、国家問題研究所が出した広告である。日本学術会議は憲法と同様に国家を貶めるGHQの策略だというのである。その上で中国の危機を煽っている。
日本学術会議は戦前にあらゆる学問の分野で、戦争協力をしたことへの反省と学術研究の独立性を担保する意味で作られたものである。そうした意味では憲法と同様に、戦争に走った権力への歯止めである、ということは彼女の意見は正解ではある。
それを止めさせようというのは、戦前は回帰せよということである。確かに現中国には、共産党の価値観しか存在しない。経済でも文学でも芸術でもあらゆる技術開発も、自らを国家と言い張って憚らない中国共産党の価値観しか存在しないためにある。それは戦前の日本そして戦後赤狩りをしたアメリカも同様である。だからといてその国に対抗するというのは愚かな行為である。国家や民族を前面に打ち出して、国家や一部の巨大企業の利益を生もうというのである。
アメリカは1950年代に、台頭するソビエトと東諸国や中国の拡散を恐れ、赤狩り(Red Scare)をやって共産主義者のみならず、中国やロシアの研究者の全てをあらゆる社会から排除した。上院議員マッカーシーの提案であるが、Red Scareとは赤への恐怖するという意味である。過剰な恐怖は喜劇王チャップリンさえも国外追放した。
結果ソビエトや中国に対する無理解、情報の不確かさや恐れが先行し、ドミノ倒し理論などがベトナム戦争へとアメリカを走らせた。アメリカでは、「社会主義者」という言葉は、いまだに卑語として使われ、今日の両大統領大統領候補も相手非難する言葉として使われている。
櫻井よし子は、120名の日本学術会議の経費10億円が高いと非難している。400億円のほとんど使用されなかった、アベノマスクを彼女は非難したのだろうか?10億円のうち多くは、事務局員の経費に使われているが、会員の懐に収まっているかのように攻め続ける。
この広告の読むとこの組織は、国家を軍事目的に向けて集中させることが目的に見える。自国を単一思想に染め、近隣国をヘイトし危機を煽り平和への道を閉ざし、ひたすら軍事拡大競争への道へと突き進ませるのが目的に見える。ここで非難する国家の姿そのものである。
戦争はこの国に平和の重要性と、戦争への道が何故そのようにして開かれたかを教訓化してくれた。憲法も日本学術会議もその教訓の延長に存在するのである。

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