そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料自給率が低い原因は

2008-03-06 | 農業と食

我が国の農業生産は、GDPの僅か1%に満たない。これは、海外にすっかり食料を委ねても、困る人間はわずか1%以下であることを意味している。だから、海外から買えるものはどんどん輸入するべきとする、経済界を中心にした連中がたくさんいる。

こんな一方的な見方はない。逆にみると、僅か1%のGDPで39%もの食料を自給しているのである。よほど安く国民に農民は食料を生産し、給与していることを意味している。農民の規模が小さいとか、生産性が低いとか論ずる前に、価格で農民の恩恵をいただいていることを感謝するべきである。

国家の安全は「軍事」「エネルギー」そして、「食料」を自賄することで、初めて保障される。とりわけ、最近の動向をみると、食料が世界の戦略物資として席巻している事実を多くの人は知らない。55

アメリカから、いつでも安価に輸入できる時代は終わりつつある。最近のバイオ燃料への転換にみられるように、食料は戦略物資として認識しなければならない。やがて円が安くなると、日本などに売る食料などありませんよと言ってくるだろう。

経済力があれば、食料などいつでも買えると思っている根拠のない楽観論が、日本には支配的である。このような国は世界にほとんど存在しない。日本だけに特殊な感覚である。

また、我が国の農業者は過保護などと、全く現状を知らない人たちがいる。過保護の農業がこれほど衰退するわけがない。我が国の農業予算は、僅か7%程度である。フランスは30%台、国家予算の半額が軍事予算であるといわれるアメリカですら20%近くある。保護の感覚が違うのである。

その良い例が、農産物への関税である。我が国の平均関税率が11.7%しかない。EUは20%、タイは35%、アルゼンチンは33%もある。野菜に至ってはわずか3%しかかけていない。中国など近隣からいくらでも入ってくるわけだ。

安価な労働力に支えられた、近隣アジア諸国は経済発展を遂げている。やがて、これほどの安価な労働力はなくなる。そうした時に、わが国には食料を自給する手段が、人的にも技術的にも困難な状況に落ちいっていることが十分考えられる。

現在日本が、アメリカの言うことは何でもきくのは、食料を自給していない弱みと、工業製品を買ってくれる弱みがあるからである。やがて、近隣アジア諸国の言われるがままの国になってしまうことになりかねない。

農業予算を、土建屋が喜ぶ構造基盤整備と称して正体不明の構造物の建設ばかりに費やしている、日本の農政は転換されるべきである。日本の農業は本当の形をもった保護こそ求められているのである。

コメント (1)
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