半透明記録

もやもや日記

『曲がり角のボクら』

2010年03月30日 | 読書日記ー漫画

中村明日美子(白泉社)





《内容》
オトコの子二人&女の子ふたり計四人の恋愛スクランブルな表題作をはじめ、女教師と男子生徒とそれを見た女の子、あるいはオトコの子と吸血鬼、あるいは幼馴染の女の子ふたり、など年の差種族性別乗り越えて構築される混線模様な相関関係を甘くほろ苦く描いた作品集。





『同級生』と『卒業生』が猛烈に面白かった中村明日美子さんの、今度は少女漫画を読んでみました。おもに白泉社の漫画雑誌【メロディ】に掲載された作品集で、なるほどいかにも【メロディ】に載っていそうな作品という感じ(とか言って、私は【メロディ】を買ったことも読んだこともないのですが;でも単行本はいくつか持っていますのよf^_^;)。


さて、『曲がり角のボクら』。
どのお話も展開に意外性をもたせつつも綺麗にまとまっていて、やっぱり絵も綺麗だし、まあまあ面白かったのは事実ですが、なにか少し物足りない気もします。BLじゃないからですか? どうなんですか? 百合っぽいところはかなりあったんですけどね。百合じゃだめなんですか? と自問自答。

あるいは、もしかすると中村さんは、短編よりもむしろある程度の分量があって物語を深く掘り下げられる長編のほうが向いているのかもしれません。というか、私がそういうのを読みたいのかもしれませんね。
この間『同級生』と『卒業生』を読んだ時、本筋が描かれている合間に、いくつかのショートストーリーが挿入されていたのですが、そのショートストーリーが物凄く良かったんですよね。佐条と草壁が、谷くんと一緒にお好み焼きを食べにいく話とか。ささやかな一場面を描くのがもの凄くうまいな! と私はとても感心したのです。
この『曲がり角のボクら』も、やっぱり凄くうまいショートストーリーだとは思いますが、登場人物に思い入れを感じる前に終わってしまう寂しさがあったのかもしれません。

未発表作だという「となりの吸血鬼」はコミカルで面白かったです。表題作の「曲がり角のボクら」もなかなか。でも、「曲がり角の…」だけで1冊分くらいの分量があってもよかったのではないでしょうか。いや、このアッサリ感がいいのかもしれないですけどね。でもやっぱりなぁ!




ところで、この本の裏のあらすじは(上に《内容》として引用してありますが)、もうちょっとどうにかならなかったのかな。と、写していて思いました。うーむ。このバラバラ感は演出なのかもしれませんが、もうちょっとこう…ね。




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