半透明記録

もやもや日記

『さよならキャラバン』

2015年02月27日 | 読書日記ー漫画


草間さかえ(小学館フラワーコミックスアルファ)



《あらすじ》
ある日、いつもの学校の中に、見慣れない制服を着た生徒が何人もいることに気づいた羽田翔(はねだしょう)。どうやら近くにきているサーカスの団員が、一月だけ転入しているらしい。ある理由からサーカスにはまったく興味のない羽田だったが、ひとりの少女と出会って―――
超絶技巧派作家が描く魅惑の作品集!

《収録作品》
夜のおつかい/夜のロジック/本日はお日柄もよく/MONEY MONEY MONEY/
金魚の旅/さよならキャラバン/アトランティスより/比良坂町よもやま怪談/
猫被り徒然


《この一文》
“眼鏡のツルは温かくて
 それはまるで
 体の一部を手渡されたような ”
   「本日はお日柄もよく」より  



草間さかえさんが好きなんです。普段は主にBL作品を中心に描いてらっしゃいますが、その草間さんの一般向け(というべきか?)作品集です。ちょうどうちの近くにもサーカスが来ているという繋がりで、久しぶりに掘り出して読み返してみました。やっぱ面白いなあ。


私としては、草間さんの漫画は絵も話もものすごく巧いと思うのですが、ややクセがあるかもしれません。ひょっとしたら好みは分かれるかも。私はすごく好きなほうです。面白い。面白いです。漫画はこうでなくてはなりません。私は特に草間さんの描く眼鏡の男性像が好きでたまらず、すっと通った鼻筋に眼鏡が乗っかっているコマを、じーーーーーーっと、ひたすらじーーーーーーーっと眺めたりするのです。それから男性の足もとなどにも釘付けになってしまいます。革靴を履いた足の描き方が素晴らしくて、もう目が離せない。まじまじと、まじまじと見てしまう。…ええ、ええ、どうせ変態ですよ私は。ほっといてくれ!


絵柄を楽しめるだけでなく、お話も良いのです。質感が伝わってくるような表現がうまいですね。この作品集の中では特に「本日はお日柄もよく」でビリビリと伝わってきました。春の感じ。春のようにのどかなところから、台風のような大風が起こる感じ。上に引用した「眼鏡のツルの温かさ」のところなんて、この生々しさときたらものすごい。何と言っても、草間さんの作品の魅力はこういうところです。
また、物語の導入もその後の展開も素晴らしい。正直に告白すると私はこの作品が一番好きで、こればかり何度も何度も読み返しています。私はこういう話が好きなのです。良平さんが私の好みすぎてキーッてなります。

表題作の「さよならキャラバン」もとても素敵なお話です。やはりサーカスには独特のロマンがありますね。華やかであり、同時に少し物悲しいような。サーカスの団員で、公演のためにあちこちを転々とするアヤコと、羽田翔という飛べそうな名前の同級生のお話。私はこういう話も大好きです。うーん、素敵だなあ!!!

中には少し分かりづらいお話もありましたが、総じて読み応えのある作品集でした。ちなみに草間さんのBL作品についても私は目下収集中であります。だいぶ集まってきましたが、まだまだ。あれもこれも面白いので早く全部集めたいですし、草間さんには今後もBLに限らず幅広く活躍してもらいたいですね。






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