半透明記録

もやもや日記

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12月の京都にて旧友と会う(後編)

2007年12月29日 | 旅の記録


12月27日。晴れ。
こまきさんと烏合さんに再び会うため、引き続き張り切って京都へ。

前日よりも空が晴れているような気がします。まだ空気の澄んだ朝だからかもしれません。阪急の通勤特急に乗って京都へ向かいます。京都に近付いたあたりで川を渡りましたが、川原には枯れたような色の草が茂っているのをくり抜くように、おそらくは川の水が流れ込んでできた小さな池ほどの丸い水たまりがありました。そこでおじさんが一人椅子に腰掛けて釣りをしていると、もう一人別のおじさんがやってきてなにやら声を掛けています。
朝の京都行き通勤特急は、通勤としては時刻が遅いせいか、わりと空いていて静かです。

10:00 四条烏丸駅
この日は、京都国際マンガミュージアムで待ち合わせます。私は夏以来ずっと行ってみたかったので、楽しみで仕方がありません。昨日とは逆に、四条から三条までをてくてくと歩いて北上します。晴れていて、空気の冷たい朝です。
「2階にいます」ということだったので、私は五百円の入館券を買い、漫画の棚がずらずらと並ぶなかを、お二方を探して上階に上がります。そして首尾よく合流した私たちは、さっそく西側の壁一面に設置された書棚から、これという漫画を取り出し、それぞれ丸椅子に座って読みふけったのでした。
私は朝から竹宮恵子氏の『変奏曲』などを読みます。全3巻。なのに、信じられないほどの密度の高さです。ちょっとした大河ロマンです。愕然として、ぶるぶると震えました。朝から。その後、榛野なな恵氏の短編集を読んで、この人はやはりどこまでも社会からの疎外感との戦いがテーマなんだろうかとつくづく考えたり、萩尾望都氏も読まねばなるまいと、いくつかの初期作品を読みました。『この子、売ります!』が明るくて面白かった。
ひとしきり読んだ後、3階のほうにも上がってみると、そこはどうやら青年漫画を中心に置いてあるようです。「『ぶっせん』が3巻までしかないわ…」と思いつつ、ひとめぐりしました。そしてまた読む。読む。途中、拍子木を打ちながらおじさんが「音のない紙芝居が始まるよ~」と宣伝して足早に私の前を通っていきましたが、私は漫画に夢中で、見に行くことができませんでした。
ずいぶん読んだところでそろそろ休憩しようということになり、烏合さんを探して、こまきさんとともに3階へ上がりました。
この京都国際マンガミュージアムの建物はもとは小学校だったらしいとこまきさんがおっしゃいます。なるほどたしかに古い小学校のつくりです。階段の半階ごとに踊り場があったり、ぎしぎしときしむ床板。でも、きれいに直してもあるようです。

マンガミュージアムの入り口を出ると、前庭の芝生の上や階段に腰掛けて、若い人たちがここでも漫画を読んでいました。寒くても平気なのでしょうか。
気が付けば、15時。すいぶん黙々と読んでしまいましたね。

「山小屋のようなところにみんなでこもって、2週間くらい漫画を読みたいよね」と烏合さんがおっしゃいます。「ほんと」「まったくだね」 ああ、そんな時間を持てたら、どんなに楽しいだろう。

15:30 林万昌堂にてお茶
とりあえず、お茶の時間なのでお茶でも飲もうということとなり、三条から四条方面へ歩きます。イノダコーヒーに行きたいと思いつつ、私は何度もお店の前を通った記憶はありながら、どうしても場所を思い出せません。当てもなく人込みのなかを歩いて、途中、おいしいお蕎麦屋さんを教えてもらったりしながら、【林万昌堂】という天津甘栗のお店の前まできました。ここの甘栗はとてもおいしいらしく、2階は喫茶になっているようです。
揺れるエレベータで上がり、コーヒーと栗ケーキのセットを注文すると、コーヒーとケーキのほかに甘栗も3粒ついてきました。
この日も楽しく語らいました。お題は「今までに読んだ面白かった漫画について」。私はわりと漫画を読むほうだと思っていましたが、全然でした。こまきさんと烏合さんの知識量は圧倒的です。すごいなあ。色々と面白そうな名作を教えてもらったので、私はこれから読む楽しみが増えました。
そのうちに、「《漫画名作全集》をつくるとしたら、何を入れる?」という話になり、これは最高に盛り上がりました。古代から現代までの漫画作品で、歴史的名作を3人それぞれに挙げていきます。なるべく偏りがないように気を遣いましたが、やはり3人の独断によって決めたので少しばかり偏ったかもしれません。いえ、かなり偏っています。『AKIRA』(大友克洋)は古典か近現代か、そもそもどこからが現代なのか、で大揉めでした。笑いが止まりませんでした。

それから、少しだけ夢の話をしました。烏合さんは前の晩に夢を見たそうで、その話をしてくれました。やっぱり面白かった。こまきさんは「あとで話そう、と思っていたら忘れてしまった」と残念がっていました。私は前の晩は夢を見たかどうかさえ覚えていません。でも、朝の川原での光景は昔見た夢の場所に似ていたことを話しました。

2時間ほど熱心に語り合った末、近所の【ジュンク堂】で漫画でも探そう(まだ読む)ということになりました。ところが、ジュンク堂京都店には驚いたことに漫画コーナーがない…。烏合さんがお店の人に聞いてくださったところによると、近所の別の書店になら漫画があるそうです。というわけで、【談(dan)】へ行ってみることにしました。
【談】は、漫画コーナーがかなり充実しています。店内をじっくりと見てまわり、それぞれに目的のものを購入したあと、店を出ました。
漫画尽くしの京都の一日もそろそろ終わりです。

19:15 四条烏丸駅
どうやったら気持ち良くお別れを言うことができるのか分からないまま、私はお二人と別れました。帰りの通勤特急に乗り込むと、ボックス席の進行方向とは逆の席に座ってしったので、遠ざかる京都が見えます。寂しいものは寂しい。列車は私を感傷的にします。またすぐに会えるのに、愚かなことですが。そう、またすぐに会えるのだった。
そう思って、私はさっそく2日間も旅行に同行させていただいてどうもありがとうという内容の、あとで思うと恥じ入るほどに感傷的なメールを送っておきました。そのあとで、お二人から返事をいただいて、私がまるで私の「素敵な恋人の夢」に出てきた女の子のようね、と書いてありました。私は彼女に比べたらずっと荒っぽいのですが、もしもそんな風に見えたなら、それはきっと私にこたえてくれる「お二人の声が美しいから」でしょう。私はただそれを映しているだけなのです。

それではまたネット上で会いましょう。
いつかまた実際にお目にかかれる日を楽しみにしています。
とても楽しい2日間をどうもありがとう!