詩人で童話作家の"宮沢賢治さん"の作品に出てくるクマは、まるで人間のように
言葉をしゃべり、行動する。 「なめとこ山の熊」では谷の風景をめでたり、
猟師に傷を負わせた振る舞いを反省したりした。 「氷河鼠(ねずみ)の毛皮」
では無法に獣を乱獲する富裕層をつるし上げている。
自然界の中で動物と人間は支え合わねば生きていけない‥‥。 いずれの物語も
共生へのモラルを読者に問いかけているようだ。 今風に言えばサステナビリ
ティー(持続可能性)をも視野に入れているのだろう。 このところ各地でクマ
による襲撃や人里への出没が相次いでいる。 古い本を読み返し、彼らの言い
分に思いを巡らせた。
本来、クマは臆病といわれている。 人が鳴らす鈴や笛の音に耳ざとく気付いて
遠ざかってしまうとされている。 一方、いったん自らの「獲物」と認識する
と執着は強いという。 登山者が食料入りのザックをクマから取り戻そうとし
て襲われることがある。 味を覚えた農作物や生ごみを何度もあさりに来るの
も、この性分ゆえらしい。
山では秋の主食のドングリ不足のうえ、少子高齢化や過疎で森に人が立ち入らな
くなり、クマの行動範囲が広がっているとの指摘もある。 不幸な遭遇をなく
すため何ができるか。 環境相が関係省庁の会議を来週開くと表明しました。
賢治をまねて、クマに語らせたい。 「シンジロウ大臣のおかげで春が待ち遠
しくなるといいな~」。 「国民の生命と財産を守る」をためにもネ・・!