農業じゆう人

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こたつの進化は「火の分裂」

2023年12月02日 12時41分26秒 | 雑学
  木枯らしの季節になると「こたつ」が恋しくなる。 
  足を伸ばしてひとときを過ごすうち、いつしか寝
  入った経験、誰もがお持ちだろう。住宅の断熱化
  やエアコンの性能アップで出番は減り気味だが、
  日本の冬を代表する暖房器具のひとつ。起源は何
  か、どのようにして今の形になったのか。 
  時代をさかのぼってみた。
  日本の民俗学の創始者、柳田邦男は1927年の「雪中随筆」で述べた。 「炬燵(こた
    つ)
時代は‥‥そう古くはないある昔の新しい文化であった」 その原型について柳田
   はこう推測している。 ーいろりから釜を下ろして、燃えさしは土間で消し、おき火は
   灰に埋め、その上を大きな布団で覆って一同が眠った‥‥。 火の始末をし、その余熱
   で家族が温まるわけだ。 この時、いろりの上には、すのこに短い脚をつけた台を置き、   
   上から布団をかけていたとの説がある。

 危険な熱源から距離を取り、布などをかけて保温
 性を高めるこの「やぐら」。その形が牛車の乗り
 降りなどに使う踏み台「榻(しじ・とう)」に似てい
 ることから室町時代の禅僧の間でこたつの祖型は
 「火榻(かとう)」などと呼ばれたようだ。小型で
 足あぶり用だったらしい。その後、長い歳月を経
 て庶民レベルへの木炭の広がりと、炭火を運ぶ十
 能などの金属製の器具の改良が進む。家屋の中で
 火を扱う危険度が下がり。江戸期以降、いろりに
 炭火を使ったコツが広がっていった。
 火が安全に使えれば、いろりのない部屋でも暖を
 取りやすくなる。柳田は「火の分裂」と表現する。

  分けた火の恩恵を形にしたこたつ類を見るのなら雪国の金沢市にある「金沢くらしの博物
   館」を訪ねると見られるそうだ。 
  江戸時代から昭和初期まで使われた置きごたつは、小型の木枠の内部に「火入れ」と呼ば
   れる陶器製の容器を置く。 一方、大正時代以降の「ころころこたつは」は、立てたり
   転がったりしても木枠の中の炭火の入る部分が必ず上を向く設計なんだそうだ。
  学芸員さんの案内で収蔵庫に入ると豆炭こたつを見せてくれるそうだ。 やぐらの下の赤
   い網の収納部分に、専用の容器に入れた豆炭をセットする。 豆炭自体が1920年の
   発明だという。 「この形は昭和40年代まで一般家庭で広く使われていた」(これ知っ
    ています)
 今も販売され、アウトドアで重宝されているそうです。

  現在のように電化されたこたつの源流は1929年、当時の松下電機製作所(現パナソニック)
   が売り出した。 「電気コタツ」と称し、内部にある食パン型のニクロム線が発熱する。
   やぐらの中に置く形だ。 「ラジオに絶対無影響」などのうたい文句で、当初の2年で
   12万台超が売れたという。

  電気を使ったこたつの本格的な広がりは戦後。 57年、東芝が、やぐらの天井に二クロ
   ム線の熱量を施したものを発表。 さらに60年にはレモン型の赤外線電球を取り付け
   た製品が生まれ、爆発的なヒットとなった。 赤い金網に保護された温かみのある光を
   思い出す方が多いハズ。
  こたつ用ヒーターでトップシェアを誇るメトロ電気工業(愛知県安城市)の”川合社長”の話。
   同社は63年、赤外線電球の量産化に成功し「主に後発のメーカー向けに提供を始めた」
   同社製を搭載したものを含め、各メーカーあわせて毎年数百万台規模が生産され、75
   年には778万台に達した。 まさに、日本まるごと暖めたわけです。 しかし、進化
   はここでは止まらない。 70年代半ばの家具調こたつの誕生だ。 通年でインテリア
   として使うニーズに応えた。
   ●こたつ布団を取った際にも見ばえがいいよう、薄型のヒーターへの転換が進み、同社も
   開発へまい進。 現在は石英やカーボンなど3種のヒーターを使った製品を海外の委託
   先などで生産。 昨年も130万台を超えた。 「厚みは41㍉にまでなっています」。
   これなら外から見えず、足を伸ばしても、ぶつからない。

  最近は省エネやテレワークへの転換で、こたつが改めて注目されている。 暮らしの洋風
   化にあわせて、いすのまま入れるこたつも店頭に並ぶ。 和やさかとやすらぎを感じさ
   せてくれる暖房の人気は根強い。
  柳田は冒頭の随筆でこうも書いた。 「炬燵は‥わが国民文明の一つの凱旋門であった」。
   火を扱う手法の進歩を述べたものだろうが、電化とその後の改良も予想していたかのよ
   うです。

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