自治体が花粉症対策で、無花粉のスギやヒノキへの植え替えに力を入れている。
富山県は無花粉スギの苗木の生産量を2026年度に23年度比で2.4倍に増やす計画だ。
神奈川県は無花粉ヒノキの生産を拡大する。 来シーズン以降にも備え、植え替え促進
には担い手づくりや国産材の需要拡大に取り組む必要がある。
富山県は全国に先駆けて無花粉スギを発見し、
「立山 森の輝き」と名付けた。 12年ごろ
から植栽を始め、23年度は県と民間の組合
が8万5000本の苗木を生産した。このう
ち1万2000本を新潟県や福井県などの近
隣県に出荷した。寒さに強く成長が早い点が
評価されている。 今後は挿し木で生産量を
増やし、26年度からは20万本に増産する
計画だ。これまでは種から育てていたため、
2分の1の確率で花粉のあるスギができていた。
挿し木で増やせば全て無花粉になる。 現在は県の採種園などで挿し木の親木を育て
ていて、富山県内で1万5000本を育成中だ。
東京都は多摩地域に適した無花粉スギの開発を進めている。 23年までに4品種を
開発した。 27年度までに安定的な種や苗を生産するための技術を確立する計画。
無花粉スギの苗の価格は一般的に通常の苗より2倍程度高いとされる。 植栽コスト
が増えるため、福島県郡山市は24年度に苗代の差額分を造林事業者に補助する事
業を始める。 苗1000本分、0.4㌶分を対象とする。
花粉症の原因はスギだけではない。 ヒノキ花粉に悩む人もいる。 神奈川県は22
年に全国で初めて無花粉ヒノキを品種登録した。 県が種を民間事業者に提供し、
今春は500本の苗が出荷された。 苗木を増やしている段階で、数年内に年30
00本の出荷を目指す。
国内では少花粉のスギが先行し、最近は無花粉も普及の兆しが見えてきた。 成長
速度や材質など林業に適した特性も必要であり様々な品種がある。 林野庁によ
ると、花粉の少ないスギ苗木の生産量は21年度に1512万本と、10年前の
11倍と大きく増えた。 全体に占める割合は53%だった。
生産は増えてきたが、植え替えは進んでいない。 全国のスギ人工林(440万㌶)
で作業を終えたのは推計で1%に満たない。
東京都は06~21年度に690㌶を伐採した。 それでも都内のスギやヒノキの
人工林の2%程度にとどまる。 都森林課の”鎧課長”は「森林所有者の9割が5
㌶未満の小規模所有者だ。 相続で所有者が不明なケースもあり、まとまった面
積を伐採できない状況」と話している。 スギ人工林の伐採・植え替えの加速に
向け、都道府県は集中的に進める「重点区域」を設定した。 林野庁によると2
月時点で98万㌶に上り、全体の2割にあたる規模だ。 国は林道の整備や植え
替えにかかる費用を補助する。
植え替えを進めるには、担い手の確保が欠かせない。 宮崎大学の“藤掛教授(林業
経済学)”は「植え替え作業は機械化が進んでいない」と話す。「伐採量を増やせば
需給のバランスが崩れ、木材価格が下がる恐れもある」ことから、国産材の需要
拡大に向けた取り組みも必要になる。
花粉の皆さん。 このような症状緩和に向けた「抜本策」も検討されています。
富山県は無花粉スギの苗木の生産量を2026年度に23年度比で2.4倍に増やす計画だ。
神奈川県は無花粉ヒノキの生産を拡大する。 来シーズン以降にも備え、植え替え促進
には担い手づくりや国産材の需要拡大に取り組む必要がある。
富山県は全国に先駆けて無花粉スギを発見し、
「立山 森の輝き」と名付けた。 12年ごろ
から植栽を始め、23年度は県と民間の組合
が8万5000本の苗木を生産した。このう
ち1万2000本を新潟県や福井県などの近
隣県に出荷した。寒さに強く成長が早い点が
評価されている。 今後は挿し木で生産量を
増やし、26年度からは20万本に増産する
計画だ。これまでは種から育てていたため、
2分の1の確率で花粉のあるスギができていた。
挿し木で増やせば全て無花粉になる。 現在は県の採種園などで挿し木の親木を育て
ていて、富山県内で1万5000本を育成中だ。
東京都は多摩地域に適した無花粉スギの開発を進めている。 23年までに4品種を
開発した。 27年度までに安定的な種や苗を生産するための技術を確立する計画。
無花粉スギの苗の価格は一般的に通常の苗より2倍程度高いとされる。 植栽コスト
が増えるため、福島県郡山市は24年度に苗代の差額分を造林事業者に補助する事
業を始める。 苗1000本分、0.4㌶分を対象とする。
花粉症の原因はスギだけではない。 ヒノキ花粉に悩む人もいる。 神奈川県は22
年に全国で初めて無花粉ヒノキを品種登録した。 県が種を民間事業者に提供し、
今春は500本の苗が出荷された。 苗木を増やしている段階で、数年内に年30
00本の出荷を目指す。
国内では少花粉のスギが先行し、最近は無花粉も普及の兆しが見えてきた。 成長
速度や材質など林業に適した特性も必要であり様々な品種がある。 林野庁によ
ると、花粉の少ないスギ苗木の生産量は21年度に1512万本と、10年前の
11倍と大きく増えた。 全体に占める割合は53%だった。
生産は増えてきたが、植え替えは進んでいない。 全国のスギ人工林(440万㌶)
で作業を終えたのは推計で1%に満たない。
東京都は06~21年度に690㌶を伐採した。 それでも都内のスギやヒノキの
人工林の2%程度にとどまる。 都森林課の”鎧課長”は「森林所有者の9割が5
㌶未満の小規模所有者だ。 相続で所有者が不明なケースもあり、まとまった面
積を伐採できない状況」と話している。 スギ人工林の伐採・植え替えの加速に
向け、都道府県は集中的に進める「重点区域」を設定した。 林野庁によると2
月時点で98万㌶に上り、全体の2割にあたる規模だ。 国は林道の整備や植え
替えにかかる費用を補助する。
植え替えを進めるには、担い手の確保が欠かせない。 宮崎大学の“藤掛教授(林業
経済学)”は「植え替え作業は機械化が進んでいない」と話す。「伐採量を増やせば
需給のバランスが崩れ、木材価格が下がる恐れもある」ことから、国産材の需要
拡大に向けた取り組みも必要になる。
花粉の皆さん。 このような症状緩和に向けた「抜本策」も検討されています。