都市住民が地方に一時的に住んで活性化に取り組む「地域おこし協力隊」をきっかけとした移住が増えている。
最長3年の任期後も同じ地域に住み続ける定着者は2023年に7214人。 全体の6割強で、1年前より
14%増えた。 山口県萩市は地元住民らが暮らし方を指南するなど、地域とのつながりを深める仕組みで定
住を後押しているという。
地域おこし協力隊は都市部の若者らが山村や離島などに移り住み、任期付き公務員などとして地域振興にあた
る制度。 主に市町村が隊員の募集や受け入れを担い、国が給与や活動費などを負担する。 09年に始ま
り23年度は1164自治体が受け入れた。 参加者は7200人と過去最多で、国は26年度までに年1
万人に増やす目標を掲げている。
地方の人口減と高齢化が加速するなか、任期終了後に定着してもらう
ことは制度の大きな目的の一つ。23年3月末までに任期を終えた計
1万1123人の定着率は64.9%だった。都道府県別では伊豆諸島な
どで受け入れる東京が83.9%と最高で、山口、静岡が70%台で続いた。
山口県萩市は地元住民らを巻き込んだ移住支援体制の構築に力を入れ
る。15年度から地区ごとに住民1人を「地域移住サポーター」に任
命。ゴミの出し方などを指南し、近隣住民との付き合い方のコツなど
も教える。21年度からは定住した元隊員が「地域おこしメッセンジ
ャー」として、現役隊員の悩みや相談に応じる仕組みも整えた。サポ
ーターらには謝礼も用意する。 定住には仕事の確保が不可欠だが、
働く場所が乏しいために、やむなく地域を離れる人もいる。総務省に
よると定住者の約4割は飲食・宿泊業などを起業する。川崎市から萩
市に移住した元隊員の”宮崎さん”もその一人。 3年間の任期中は農山
漁村の文化を体験する農泊振興などに携わった。任期後の19年には
同じく隊員だった妻と農泊や自転車ツアーの企画運営会社を立ち上げた。
隊員時代に培った運営ノウハウや地域住民とのつながりを生かし、現在は外国人を中心に年間約400人の観
光客を受け入れる。 宮崎さんは「任期を終えた他の隊員の収入源の一つにもしたい」と話す。 実際に定
住した元隊員が宮崎さんと連携して観光客に農泊の宿を提供するなど地域活性化にも一役買う。
長野県南箕輪村の”藤代村長(44)”は東京都出身の元隊員という異色の経歴を持つ。 子育て環境を重視して
17年から2年間、隊員として村の移住・定住業務を担当。 村議を経て21年の村長選で当選した。 総
務省などによると、「隊員出身の首長はほかに聞いたことがない」という。
藤代村長は「現役の隊員らには『副業でも何でもいいから任期後を見据えて稼ぐ力を高めてほしい』と伝
えている」と話す。 村職員として働く隊員が定住を見据えて副業などに時間を割きたい場合は、雇用形態
を柔軟にするなどの配慮をする。
現在は英会話のレッスンや木工製品販売などに取り組む人もいる。 森林や林業の専門知識を持つ「森林総
合監理士」になった隊員には、任期が終わる来春以降も村の森林管理業務を委託したいという。
協力隊を巡っては地域住民や自治体とのトラブルも起きている。 協力隊制度に詳しい法政大学の“図司教授”
は「地域外の人の受け入れに不慣れな自治体や地域は、短期の交流事業などで経験を積んでおく必要がある」
と強調する。 そのうえで、「隊員の定住意向を高めるには隊員と自治体、地域が同じ熱量と方向性を持つ
ことが肝になる」と話している。 地域再生にはまだまだ努力・改善が必要のようです。
最長3年の任期後も同じ地域に住み続ける定着者は2023年に7214人。 全体の6割強で、1年前より
14%増えた。 山口県萩市は地元住民らが暮らし方を指南するなど、地域とのつながりを深める仕組みで定
住を後押しているという。
地域おこし協力隊は都市部の若者らが山村や離島などに移り住み、任期付き公務員などとして地域振興にあた
る制度。 主に市町村が隊員の募集や受け入れを担い、国が給与や活動費などを負担する。 09年に始ま
り23年度は1164自治体が受け入れた。 参加者は7200人と過去最多で、国は26年度までに年1
万人に増やす目標を掲げている。
地方の人口減と高齢化が加速するなか、任期終了後に定着してもらう
ことは制度の大きな目的の一つ。23年3月末までに任期を終えた計
1万1123人の定着率は64.9%だった。都道府県別では伊豆諸島な
どで受け入れる東京が83.9%と最高で、山口、静岡が70%台で続いた。
山口県萩市は地元住民らを巻き込んだ移住支援体制の構築に力を入れ
る。15年度から地区ごとに住民1人を「地域移住サポーター」に任
命。ゴミの出し方などを指南し、近隣住民との付き合い方のコツなど
も教える。21年度からは定住した元隊員が「地域おこしメッセンジ
ャー」として、現役隊員の悩みや相談に応じる仕組みも整えた。サポ
ーターらには謝礼も用意する。 定住には仕事の確保が不可欠だが、
働く場所が乏しいために、やむなく地域を離れる人もいる。総務省に
よると定住者の約4割は飲食・宿泊業などを起業する。川崎市から萩
市に移住した元隊員の”宮崎さん”もその一人。 3年間の任期中は農山
漁村の文化を体験する農泊振興などに携わった。任期後の19年には
同じく隊員だった妻と農泊や自転車ツアーの企画運営会社を立ち上げた。
隊員時代に培った運営ノウハウや地域住民とのつながりを生かし、現在は外国人を中心に年間約400人の観
光客を受け入れる。 宮崎さんは「任期を終えた他の隊員の収入源の一つにもしたい」と話す。 実際に定
住した元隊員が宮崎さんと連携して観光客に農泊の宿を提供するなど地域活性化にも一役買う。
長野県南箕輪村の”藤代村長(44)”は東京都出身の元隊員という異色の経歴を持つ。 子育て環境を重視して
17年から2年間、隊員として村の移住・定住業務を担当。 村議を経て21年の村長選で当選した。 総
務省などによると、「隊員出身の首長はほかに聞いたことがない」という。
藤代村長は「現役の隊員らには『副業でも何でもいいから任期後を見据えて稼ぐ力を高めてほしい』と伝
えている」と話す。 村職員として働く隊員が定住を見据えて副業などに時間を割きたい場合は、雇用形態
を柔軟にするなどの配慮をする。
現在は英会話のレッスンや木工製品販売などに取り組む人もいる。 森林や林業の専門知識を持つ「森林総
合監理士」になった隊員には、任期が終わる来春以降も村の森林管理業務を委託したいという。
協力隊を巡っては地域住民や自治体とのトラブルも起きている。 協力隊制度に詳しい法政大学の“図司教授”
は「地域外の人の受け入れに不慣れな自治体や地域は、短期の交流事業などで経験を積んでおく必要がある」
と強調する。 そのうえで、「隊員の定住意向を高めるには隊員と自治体、地域が同じ熱量と方向性を持つ
ことが肝になる」と話している。 地域再生にはまだまだ努力・改善が必要のようです。