いよいよ明日から大相撲名古屋場所が始まります。 近年の大相撲、力士の巨大化が止まらない。
平成以降の幕内でみると、体重が15㌔以上も重くなった計算になっているという。
パワー偏重で技の応酬が減ったと批判的な見方もあるが、大きくなればなるほど映えるのが「小兵」。
令和で迎える名古屋場所で、ひときわ小さな兄弟弟子が再び幕内の土俵を沸かせそうです・・。
平成最後の本場所となった今年の3月の春場所9日目、十両の土俵。 168㌢、100㌔の小兵
「炎鵬」(えんほう)が大きな拍手を浴びた。 相手は181㌢、185㌔の徳勝龍(とくしょうりゅう)。
立ち合いから強烈な突っ張りをくらい、あっという間に土俵際。さらに足を滑らせ、尻餅をつき
そうな体勢になり、絶体絶命の場面に陥った。 だが、そこからが炎鵬の真骨頂だった!
カエルのように跳ねて体勢を立て直すと、その勢いで左足を抱え込み、85㌔も重い徳勝龍を土
俵に転がした。 決まり手は「足取り」。 「足を取ったものの、決まり手がコールされたのも
覚えていない」と、炎鵬も驚く逆転相撲だった・・。
金沢学院大(石川県)時代に世界選手権の軽量級を2連覇した炎鵬は、十両と幕内で計70人いる関取
で、身長・体重ともに一番小さい力士です。 浴衣で歩く姿は、さながら時代劇に出てくる役者
さんのようとの評判。 アクロバティックな取り口を可能にするのは、前後左右、上下も含めた
動きの俊敏性。 それは、兄弟子の横綱白鵬との稽古で鍛えた体幹の強さが生んでいるようだ。
先場所は前半大活躍で期待したが、後半は少々崩れて負け越しになってしまい残念だった。
今場所は番付も西に移っただけ、今場所こそ大いに期待したものだ!
新入幕を果たした力士がよく、「今の体
では通用しない」「体重をもっと増やし
たい」と言う。 大きい相手に当たり負
けしたくないから、自分も大きくなる。
そんな連鎖が続き1989年(平成元年)初
場所で147.42㌔だった幕内平均体
重は、先の夏場所前の計測では163.
9㌔まで上昇した。
相撲の取り口にも変化が生じている、と
解説者の“舞の海さん”は指摘している。
現役時代は171㌢で100㌔以下で、
「技デパート」と呼ばれた元小結は「立
ち合いの当たりや押しを重視する傾向に
あり、体が大きくなった一方、緻密さが
なくなった。 四つ相撲の技術といった
奥深さが失われている」。
現役の小兵にも、同様の思いはある。 弟弟子の炎鵬についで軽い115㌔、十両の石浦は「昔の相
撲のような技は、今は見られない」。 ただ、力士が弱くなったわけではない、とも思う・・と。
「体重が重くなって、そういう技を出す必要がなくなったんだと思います。 相撲が進化している。
強いのは今が一番じゃないですか」
最重量関取、227㌔の元関脇逸ノ城(モンゴル出身)の半分ほどの体で、石浦は幕内在位12場所を務
めてきた。 その間、勝ち越しは3度だけ。 今場所は十両へ陥落。 再入幕を狙う。
でも「体重無差別で戦うのが相撲の一番面白いところ。体重別で見てもつまんないでしょ」と。
入門前に総合格闘技も経験した石浦は、頭をつけて食い下がりながら勝機をつかむ。
体格差を埋めようと、レスリングや柔術の動きも参考にしているという。 身長は174㌢。
子供の頃の憧れは、自分に近い体形の舞の海と智ノ花(元小結)だったそうだ。
この2人が主に活躍した1990年代は平均150㌔台に突入していたが、ハワイ勢の小錦、曙、
武蔵丸ら飛び抜けた体格の持ち主が数字を押し上げていた面があった。 しかし現在、幕内42人
のうち160㌔以上が26人。 120㌔未満は炎鵬・石浦・照強(116㌔)の3人しかいない。
「言い訳っぽいですけど」と石浦は前置し、こう続ける。 「あの時代は平均的には相手が軽い。
今、170、180㌔の人がバチンと当たってきて、僕らみたいな小さい力士が立ち合いでちょっ
とでもミスしたら、ケガをするか、負けるか」
小兵は“絶滅危惧種”となるのか。 舞の海さんは否定する。 「今はチャンスなんですよ、逆に。
大型化の影響で取り口が雑になったところを突いていけば、小兵にもまだまだ生きる道はある」と
強調しています。
炎鵬も石浦も今よりもっと小さい体で、白鵬にスカウトされ各界入りを決めたそうだ。
「小さい僕が勝てないと思っているお客さんは多い。 どんな勝ち方でもいいから、そんなお客さん
を裏切れると最高ですね~」と炎鵬が言えば、増量に腐心してきた石浦も小兵の自負をのぞかせる。
「自分の形になったら、しぶとい相撲を取る自信はある。 一つの武器があれば、どんなに大きい相
手でも面白い相撲が取れる。 まわしを取る相撲が自分の強みですが、頭を柔らかくしていろんな
ことにチャレンジしたい!」と意気込んでいるそうです。
小兵の3力士(炎鵬関、石浦関、照強関)の名古屋場所での活躍を大いに期待したい。
平成以降の幕内でみると、体重が15㌔以上も重くなった計算になっているという。
パワー偏重で技の応酬が減ったと批判的な見方もあるが、大きくなればなるほど映えるのが「小兵」。
令和で迎える名古屋場所で、ひときわ小さな兄弟弟子が再び幕内の土俵を沸かせそうです・・。
平成最後の本場所となった今年の3月の春場所9日目、十両の土俵。 168㌢、100㌔の小兵
「炎鵬」(えんほう)が大きな拍手を浴びた。 相手は181㌢、185㌔の徳勝龍(とくしょうりゅう)。
立ち合いから強烈な突っ張りをくらい、あっという間に土俵際。さらに足を滑らせ、尻餅をつき
そうな体勢になり、絶体絶命の場面に陥った。 だが、そこからが炎鵬の真骨頂だった!
カエルのように跳ねて体勢を立て直すと、その勢いで左足を抱え込み、85㌔も重い徳勝龍を土
俵に転がした。 決まり手は「足取り」。 「足を取ったものの、決まり手がコールされたのも
覚えていない」と、炎鵬も驚く逆転相撲だった・・。
金沢学院大(石川県)時代に世界選手権の軽量級を2連覇した炎鵬は、十両と幕内で計70人いる関取
で、身長・体重ともに一番小さい力士です。 浴衣で歩く姿は、さながら時代劇に出てくる役者
さんのようとの評判。 アクロバティックな取り口を可能にするのは、前後左右、上下も含めた
動きの俊敏性。 それは、兄弟子の横綱白鵬との稽古で鍛えた体幹の強さが生んでいるようだ。
先場所は前半大活躍で期待したが、後半は少々崩れて負け越しになってしまい残念だった。
今場所は番付も西に移っただけ、今場所こそ大いに期待したものだ!
新入幕を果たした力士がよく、「今の体
では通用しない」「体重をもっと増やし
たい」と言う。 大きい相手に当たり負
けしたくないから、自分も大きくなる。
そんな連鎖が続き1989年(平成元年)初
場所で147.42㌔だった幕内平均体
重は、先の夏場所前の計測では163.
9㌔まで上昇した。
相撲の取り口にも変化が生じている、と
解説者の“舞の海さん”は指摘している。
現役時代は171㌢で100㌔以下で、
「技デパート」と呼ばれた元小結は「立
ち合いの当たりや押しを重視する傾向に
あり、体が大きくなった一方、緻密さが
なくなった。 四つ相撲の技術といった
奥深さが失われている」。
現役の小兵にも、同様の思いはある。 弟弟子の炎鵬についで軽い115㌔、十両の石浦は「昔の相
撲のような技は、今は見られない」。 ただ、力士が弱くなったわけではない、とも思う・・と。
「体重が重くなって、そういう技を出す必要がなくなったんだと思います。 相撲が進化している。
強いのは今が一番じゃないですか」
最重量関取、227㌔の元関脇逸ノ城(モンゴル出身)の半分ほどの体で、石浦は幕内在位12場所を務
めてきた。 その間、勝ち越しは3度だけ。 今場所は十両へ陥落。 再入幕を狙う。
でも「体重無差別で戦うのが相撲の一番面白いところ。体重別で見てもつまんないでしょ」と。
入門前に総合格闘技も経験した石浦は、頭をつけて食い下がりながら勝機をつかむ。
体格差を埋めようと、レスリングや柔術の動きも参考にしているという。 身長は174㌢。
子供の頃の憧れは、自分に近い体形の舞の海と智ノ花(元小結)だったそうだ。
この2人が主に活躍した1990年代は平均150㌔台に突入していたが、ハワイ勢の小錦、曙、
武蔵丸ら飛び抜けた体格の持ち主が数字を押し上げていた面があった。 しかし現在、幕内42人
のうち160㌔以上が26人。 120㌔未満は炎鵬・石浦・照強(116㌔)の3人しかいない。
「言い訳っぽいですけど」と石浦は前置し、こう続ける。 「あの時代は平均的には相手が軽い。
今、170、180㌔の人がバチンと当たってきて、僕らみたいな小さい力士が立ち合いでちょっ
とでもミスしたら、ケガをするか、負けるか」
小兵は“絶滅危惧種”となるのか。 舞の海さんは否定する。 「今はチャンスなんですよ、逆に。
大型化の影響で取り口が雑になったところを突いていけば、小兵にもまだまだ生きる道はある」と
強調しています。
炎鵬も石浦も今よりもっと小さい体で、白鵬にスカウトされ各界入りを決めたそうだ。
「小さい僕が勝てないと思っているお客さんは多い。 どんな勝ち方でもいいから、そんなお客さん
を裏切れると最高ですね~」と炎鵬が言えば、増量に腐心してきた石浦も小兵の自負をのぞかせる。
「自分の形になったら、しぶとい相撲を取る自信はある。 一つの武器があれば、どんなに大きい相
手でも面白い相撲が取れる。 まわしを取る相撲が自分の強みですが、頭を柔らかくしていろんな
ことにチャレンジしたい!」と意気込んでいるそうです。
小兵の3力士(炎鵬関、石浦関、照強関)の名古屋場所での活躍を大いに期待したい。